一方で銀行団には、融資の継続に大きく関わる債務者区分は引き下げる方向で動いている。債務者区分は、融資相手を信用状況によって分類するもの。上から(1)正常先、(2)要注意先、(3)破綻懸念先、(4)実質破綻先、(5)破綻先となっている。要注意先の中に「要管理先」があり、これ以下が「不良債権」とされる。

 下に行くほど信用力が低いわけで、当然、貸出金利は高くなる。だが、銀行自身にとっても、貸し倒れに備える引当金計上を迫られ、負担は重くなる。東芝に対する主力行の融資額は、昨年3月末時点では、みずほ銀行が1834億円、三井住友銀行が1768億円、三井住友信託銀行が1310億円、三菱東京UFJ銀行が1112億円に上っており、地方銀行の一部や日本政策投資銀行、農林中金なども融資している。

 このうち、既に「みずほ銀行が今年1月、東芝を正常先から一段階下げて要注意先に替え、他の主力行も引き下げを検討しているようだ」(ある銀行関係者)と言われる。だが、本来、債務超過になれば破綻懸念先になるのが普通だ。

 それでも、みずほが要注意先にとどめ、「他行も大きくは下げないだろう」(ある銀行アナリスト)と言われる。その理由は、1つには仮に破綻懸念先となると、融資額から担保額を引いた金額の50%以上の引当金を積む必要に迫られる。銀行にとっては、100億円単位の負担増になる。

 そして何より、破綻懸念先となると融資の継続ができなくなるという大きな問題がある。だから、東芝の危機を拡大させないよう、“寸止め”にしているのだろう。

東芝融資を不良債権には認定できない理由

CFO(最高財務責任者)を務める平田政善専務
CFO(最高財務責任者)を務める平田政善専務

 この2つの動きから読み取れるのは、「銀行としては東芝を支えるほかないという判断だ」(ある銀行アナリスト)。

 東芝の危機がここまで深刻になると、一定の負担増は覚悟しても債務者区分を引き下げざるを得ない。ただし、不良債権に認定するところまでは踏み切れない。不良債権認定をして追加融資ができなくなれば、東芝は本当の危機を迎えかねない。

 そうなれば、これまでの融資自体も回収が容易ではなくなる。当面、東芝の再生計画を信頼すればその理屈はつけられる、といったところではないか。

 東芝は14日、半導体新社の株式売却のほか、「WHの過半の株を売却して非連結化し、海外原子力事業のリスク遮断」「その後、社会インフラ部門を軸にした新生東芝として再生する」というプランを発表した。これによって2019年度には売上高4兆2000億円、営業利益2100億円の「健全企業」に戻るとしている。

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