海外からの不公正競争批判

 今回のゆうちょ銀行の規模拡大に反対するのは国内の銀行だけではない。これは外国の銀行にとっても、TPP等の経済連携協定に不可欠な「内外無差別原則」への重大な違反といえる。

 日本には外国企業を狙い撃ちするような露骨な制度はないが、特定の国内銀行を、事実上、優遇する政策は、外資系を含む他の銀行に対する間接的な差別といえるからだ。

 日本政府が3分の1の株式を保有するという意味で、国際標準では国営企業である日本郵政の子会社のゆうちょ銀行の預金を、事実上、無制限に国が保証することは、海外企業にとっては差別的な取り扱いと見なされても不思議ではない。

 これは多くの巨大な国営企業を抱える中国が、TPPのようなハイレベルの経済連携協定に加入できないひとつの大きな要因である。グローバル化が進む日本経済の下で、TPPを成長戦略の大きな柱として掲げる安倍政権が、国内の郵政族の圧力に屈して、それと矛盾する政策を進めてよいのだろうか。

 アベノミクスでは、金融財政の拡大で景気を維持し、その間に構造改革を進めることが、本来の戦略であった。しかし、肝心の構造改革が進むどころか、むしろ逆行していることが大きな問題といえる。

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