労基法違反で是正勧告を受けたヤマト運輸が、大規模な労働環境調査に乗り出す。巨額の残業代を支払うことになる可能性も出てきた。背景には電通のケースでも明らかになった、労働行政の大きな方針転換がある。

ネット通販の急伸で労働負荷が高まった(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 ヤマトホールディングス(HD)はヤマト運輸など複数のグループ企業の社員を対象として労働環境調査を始めた。

 ヤマト運輸は昨年、残業代の一部を支払わず休憩時間を適切にとらせていなかったとして、横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けている。出社や退社時に打刻するタイムカードではなく携帯端末を稼働させる時刻で労働時間を管理していたため、電源を入れる前の仕分け作業や切った後の伝票作成などの業務が未払いとなっていた。

 調査の対象人数はおよそ7万6000人とされ、残業代の支払いに必要な原資は数百億円に上る可能性がある。ヤマトHDは2017年3月期の営業利益を580億円と予想しているが、業績への影響は避けられない状況だ。ヤマト運輸は「未払いが判明すれば、企業としてしっかりと対応する」(広報)としている。

 使用者側の代理人として労働事件の経験が豊富な杜若経営法律事務所の岸田鑑彦弁護士は「実態として、労使合意の下で労基法と異なる労働時間管理をしている企業は少なくない。ただ、労働環境の悪化などをきっかけに争いになれば、合意があっても企業が負けるケースが多い」と注意喚起をする。