GMとの共同開発もコスト削減に寄与

 「普通のクルマ」にするためにまず必要なのは、コストダウンだ。ホンダはクラリティの開発の初期段階から、プラットフォームを将来投入予定のPHV(プラグインハイブリッド車)と共通化することを決めていた。当面は栃木県高根沢町の生産企画統括部で少量生産するが、個人向け販売開始を機に、国内の他工場へ生産を移管する方針だ。

 八郷社長はプラットフォーム共通化についてこう説明する。「数が揃わないとコストは下げられない。エンジンルームの共通化が課題だった。今回の進化の一番大きな点はそこだ。ガソリン車も含めたプラットフォームの作り方も考えなければならない。(パワートレインの)大きさはガソリン車と同じくらいになってきた。次のステップは量産に向けた技術をどうつくるかになる」。

 米ゼネラル・モーターズ(GM)と進める燃料電池の共同開発もコストダウンに向けて重要になる。現時点で、共同開発の対象は、燃料電池スタックのシステムと高圧タンクだ。

 三部氏は「GMと組んだ大きな理由は台数。目指すべきは数万台規模だ。次の世代は相当進化するだろう」と言う。2020年に市場投入予定の次世代FCVでは、GMとの共同開発によるパワートレインとなる。

 もう一つの課題は、インフラだ。

 「世界で一番進んでいる」(三部氏)とされる日本国内でも、水素を充填する水素ステーションの整備は国が描く目標に対し遅れている。ステーションは現在、全国で約80カ所。国は2015年度内に100カ所を目標としていたが、届きそうにない。しかもステーションは、東京、名古屋、大阪、福岡の4大都市圏に集中していて、地方部では使い勝手が悪い。

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