機密の不正取得で訴訟の過去

 同様に、SKハイニックスによる買収にもWDは抵抗しそうだ。東芝は14年、フラッシュメモリーに関する機密情報を不正に取得したとして、SKハイニックスに対して損害賠償を求めた。SKハイニックスが約330億円の和解金を支払ったことで既に決着したが、「現場の不信感は根強い。パートナーとして協力関係が築けるとは思えない」と、前出のWD幹部は打ち明ける。

半導体の業界秩序が変わる
●NAND型フラッシュメモリーの世界シェア
注:2016年の金額ベース 出所:IHSグローバル

 ならば、WDが最有力候補かというと、事態はそう単純ではない。WDは米サンディスクを約190億ドル(約2兆1400億円)で買収し、16年にフラッシュメモリー事業に本格参入した。「買収の影響で財務面の余力に乏しい。1兆円規模の資金を捻出するのは難しいだろう」(WD幹部)。さらに、WDが東芝のフラッシュメモリー事業を傘下に収めると、世界首位の韓国サムスン電子に肉薄する。独占禁止法関連で、厳しく審査されるのは必至だ。

 米原子力事業で巨額損失を計上する東芝にとって、フラッシュメモリー事業の売却は経営再建の切り札だ。だが、買収相手が決まるまでは多くの波乱が待ち構えている。

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(日経ビジネス2017年3月13日号より転載)