世界最大級の資産運用会社・米ブラックロックが、投資先企業に「従業員の生活水準向上」を求めている。社員のやりがいや満足度を重視する投資姿勢は、日本の「働き方改革」とも一致する。「ESG(環境・社会・企業統治)」への取り組みが、企業経営の重要テーマとして注目を浴びそうだ。

「企業が従業員の能力開発や生活水準の向上に積極的に投資しているかを注視している」──。3月上旬、ブラックロックのラリー・フィンク会長兼CEO(最高経営責任者)が、日本の有力企業約400社に向けて書簡を送った。1月ごろに欧米の投資先企業に送付した書簡の和訳版で、「ブラックロックが今、企業経営のどんな点に注目しているのか」を端的に示す内容だ。
同社はフィンク会長兼CEOが1988年に創設した。年金基金や機関投資家から資金を預かり、世界中の株式や債券などに投資している。運用資産は約600兆円(昨年末時点)で、日本のGDP(国内総生産)を上回る規模だ。
日本株だけでも20兆円以上を保有しており、大量保有報告書によると日立製作所や三菱ケミカルホールディングスなど有力企業の大株主に名を連ねている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日銀と並ぶ“日本株式会社の大株主”となっており、同社が「企業による従業員への投資」を重点項目に挙げたことは、日本企業の経営戦略に大きな影響を与える。
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