存続する店舗でいかに収益性を高めるかが問われる(都内のヨーカ堂店舗)

 そして3つ目が、物言う株主として知られる米投資ファンド、サード・ポイントの存在だ。同ファンドは昨年、セブン&アイ株を取得。コンビニ事業に比べて著しく経営効率が低いイトーヨーカ堂をグループから分離するよう求めている。

 サード・ポイントの要求内容に比べると、今回の構造改革は踏み込み不足と捉えることもできる。村田社長は8日の記者会見で、グループのプライベートブランドであり、コンビニ事業の競争力を高めているセブンプレミアムについて「イトーヨーカ堂が対象とするマーケットの広さや、顧客情報があったから商品開発ができた」と説明。コンビニ事業の成長に対するイトーヨーカ堂の貢献の大きさを強調した。それゆえにグループ内に総合スーパー事業をとどめておく意義があるというメッセージを出したかったのだろう。

「サード・ポイントを意識してない」

 ヨーカ堂などのリストラについては「サード・ポイントを意識したわけではない。一株主よりも多くの株主にマーケットの中で説明していく」と話した。

 セブン&アイは前期の連結営業利益について前の期比7%増の3670億円で、5期連続で過去最高を更新すると予想してきた。4月上旬に決算発表を控えるため具体的な数字は8日の記者会見では明らかにしなかったが、予想通り最高益の更新を果たし、今期も最高益の更新を続けると宣言した。その内情は、連結営業利益の8割超を占める日米のコンビニ事業の好調によるところが大きい。

 ヨーカ堂は20店の閉店によって今期から営業利益を年間19億円を押し上げる効果を見込む。だが売上高で1兆2000億円を超えるイトーヨーカ堂の事業規模からすると、その改善効果はわずかなものだ。存続する店舗でいかに収益を改善できるかが問われる。    

 同社の総合スーパーは現在、6~7割が自営の売り場で、3~4割がテナントだが、今後「この比率を逆転させる」(村田社長)考えだ。テナント導入を収益改善の柱にする構想だが、今回の発表では導入ペースやテナントの内容など詳細は説明していない。

 「グループ成長戦略と事業構造改革について」と題した8日の記者会見。最大の特徴は、「オムニチャネル戦略」を推進するために、そごう・西武がネット通販に合った商品を開発する役割を担うなど、グループシナジーの説明に多くの時間を割いたことだ。だが苦悩する百貨店と総合スーパーの本業そのものの利益は、どこまで改善するのか。視界は晴れない。