中村常務によれば、モスバーガーの国内既存店の売上高は、対前年で1%ずつの増加を掲げているという。つまり3年間で約3%の成長だ。

 過去の実績は、2013年度は1%減、2014年度は0.6%増、2015年度は直近の11カ月間で7.3%増と推移している。この7.3%増の中身をみると、値上げの影響もあり客単価が10.3%増えた一方で、客数は2.7%減っている。客数の前年割れは13カ月連続だ。

 こうした状況から、売上高について年1%増という慎重な目標を掲げたとみられる。中村常務は「(年1%増というのは)“ひずみ”を生まないで着実に成長していくための数字だ」と説明する。

 ハンバーガー業界の経営環境は依然として厳しい。約3000店を展開する最大手の「マクドナルド」の業績が落ち込んでいる一方で、2015年以降「シェイクシャック」や「カールスジュニア」といった米国発のブランドが日本に上陸し、消費者の関心を集めている。中村常務は「飲食業界の競争は厳しいが、余地はあるはず。成長をあきらめるわけではない」と強調する。国産野菜などを強みとして、全国チェーンへと成長してきたモスバーガーだが、客数の減少に歯止めをかけ、反転攻勢するための起爆剤が必要だ。

次世代オーナーに「覚悟」を求める

 2つ目の壁は、フランチャイズチェーン(FC)オーナーの高齢化だ。モスバーガーのFCオーナーの平均年齢は58歳と高い。マクドナルドのFCが社員の“のれん分け”が中心だったのに対して、モスバーガーは、未経験者でも本社が一から教育し、地域に密着したパパママストアとして増えていった。2016年2月末時点で、国内1372店の約8割をFCが経営する。1997年にはFC店は1413店で、オーナーは最大694人いたが、徐々に減って2016年3月末には1097店、435人となる見通し。個人オーナーと、他の外食チェーンなども経営する法人オーナーの比率は、現状では半々だ。

 オーナーが高齢化する一方で、経営環境は決して楽ではないこともあり、新たに開業を希望する人は減っている。既存オーナーの親族や従業員など、皆が事業承継に積極的というわけではない。だが、後継者がおらず撤退していく店が相次げば、事業基盤が揺らぐばかりでなく、ブランド力の低下にもつながりかねない。そこでモスフードサービスは、オーナーを目指す次世代向けに、必要な知識や心構えを身につけてもらえるような研修を行うなど、10年ほど前から後継者の育成に力を入れてきた。

 さらに2年前からは中村常務が、研修の内容を見直して、オーナーになる覚悟を持たせる内容に改めた。参加者にはいつまでにオーナーになるのか、期限を宣言してもらうようにし、途中にテストも実施するようにした。2016年度からは研修を年1回から2回に増やす方針で、本社とFCの関係をさらに強めて、利益体質の向上につなげていく考えだ。

 「1代目のオーナーは金銭的にも多額のリスクを負って開業することになるが、後を継ぐ2代目にはそうした負担がない分、“ゆるみ”が出てしまうことがある。事業はいいときばかりではない。本当に経営していく覚悟があるのか、経営の価値観を本社と共有できるのか、今後もしっかり確認していく」。中村常務はそう強調する。