民間企業が続々参入

 そんな中、民間企業が町家を活用する動きが広がってきた。

 婦人下着大手のワコールは、今年4月、町家を改装した宿泊施設をオープンする。施設は一棟丸ごと貸し切りで、スタッフの常駐もない。鍵はワコールが運営する施設で事前に手渡す。価格は未定だが、最低でも2名で1泊6万円ほどを想定している。19年3月期までに同様の施設を5軒、さらに3年で20軒まで展開することを目指す。

 宿泊施設にはワコールのロゴは入れないため、外観からはワコールの施設とは分からない。同プロジェクトに携わるワコールホールディングス・未来事業推進企画室の楠木章弘氏は、「本業との相乗効果はあまりないが、京都で創業した企業として町家の保全に協力したいと思った」と語る。昨年5月に宿泊事業への参入を発表したところ、町家の所有者からの問い合わせが相次いだ。

 大丸松坂屋百貨店は16年11月、町家を改装した店舗「大丸京都店 衹園町家」をオープン。2017年7月末までの期間限定でエルメスが入店し、現在はスイスの高級腕時計ブランド「ウブロ」が入る。さらに大丸松坂屋は市内の別の場所でも町家を改装し、米国発祥のブルーボトルコーヒーを導入し、今年3月、「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」を開業する。スターバックスコーヒージャパンも17年6月、清水寺近くの築100年を超える家屋を改装した店舗を開業した。

 個人がカフェや宿泊施設を開業することも増えている。

 京都市も町家の減少を黙って見ているわけではない。15年には、京町家の保全に専任で取り組む課を新設。さらに17年には、条例を制定し、京町家の所有者に対して取り壊す前に市に届け出ることを促す。市は、支援制度の情報提供のほか、事業者団体などと連携して活用方法の提案や、活用希望者とのマッチングなどの支援をする。

 京都市に限らず、日本では空き家の増加が社会問題となっている。行政や個人の努力に限界がある中で、民間企業の参入は大きな力となるだろう。

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