ビーエッジへの出資比率はスクラムが51%でパナソニックが49%です。パナソニックがマイノリティー出資であることの意味はあるのでしょうか。
春田:形だけの問題かもしれないが、外部が主導すると言う明確なメッセージだ。パナソニックの子会社扱いになっては意味がない。大企業の縛りやルールを捨てて、インキュベーションしていきたい。開発面などで協力してもらう部分はあるが、パナソニックとは独立した形で進めていく。
深田:パナソニックの社内ルールに捉われないようにしたかったのは事実。マジョリティー出資だと、事業内容や商品化プロセス、品質などで社内のルールが適用されてしまう。ともすれば新規事業の立ち上げスピードが落ちかねない。

マイノリティー出資にすることでイノベーションのギアを上げていく。事業スピードを上げ、学びにもつなげていきたい。社内で新規事業プロジェクトを進めるうえで出資スキームは課題に感じていたので、意図的にマイノリティー出資にしている。
商品やサービスにパナソニックブランドが付かない可能性はある?
春田:基本的には別ブランドで進めていこうと思っている。
深田:我々としては、ブランドはパナソニックにこだわらない。マイノリティー出資なので、パナソニックブランドとして出すのが前提ではない。
パナは「ちゃんとした堅い会社」
春田氏はそもそもパナソニックにはどういったイメージを持っていたのでしょうか。
春田:僕自身、関西出身だし小さいころから松下の商品に愛着はあった。パナソニックのイメージは、「堅くてちゃんとしている会社」ですね。ただ、(深田氏が進める新規事業プロジェクトの)「ゲームチェンジャー・カタパルト」のように、今までとは違う取り組みも出てきている。全体の構造改革のなかで新しいことにチャレンジしているのは間違いない。あとはどう成果に結び付けていけるかだろう。

その「堅い会社」と組むことに抵抗はなかったのでしょうか。
春田:ディー・エヌ・エー(DeNA)時代にもKDDIやNTTドコモ、千趣会、東京三菱UFJ銀行などと協業してきた経験がある。それに僕自身が銀行出身でスタートアップに転じたので、大企業の強みや課題認識は肌感覚で理解できている。
こうした経験から言える成功の秘訣は「変に遠慮しない」ということに尽きる。親会社の意向を忖度せずに、共同出資会社のことを中心にいかに物事を考えられるか。気を使うのではなく、いかに協力してもらえるかを考えれば成功につながりやすい。今回の新会社でもそれを実践できる人材が必要。パナソニック側にもそういう人材がほしいと伝えていますよ。
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