パナソニックは3月1日、家電の新事業創出に向けて米ベンチャーキャピタル(VC)、スクラムベンチャーズと合弁会社を設立すると発表した。新会社名は「BeeEdge(ビーエッジ)」。主にパナソニック社内にある新しい家電のアイデアを審査し、将来性があると判断したプロジェクトごとに出資、事業会社を立ち上げていく。

 新会社の社長に就くのが春田真氏。ディー・エヌ・エー(DeNA)会長やプロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」のオーナーなどを歴任。住友銀行(現三井住友銀行)から創業期のDeNAに転じ、南場智子氏の懐刀として財務など経営面からモバイルゲームなど新規事業の立ち上げを支えてきた。

 春田氏がパナソニックとの合弁会社で目指すものは何か。春田氏と、パナソニックの家電部門で新規事業創出プロジェクト「ゲームチェンジャー・カタパルト」を主導し、新会社の取締役に就任する深田昌則氏の2人に、新会社設立の狙いなどについて聞いた。

(聞き手は 佐伯 真也)

パナソニックとスクラムベンチャーズは新会社「BeeEdge(ビーエッジ)」を設立すると発表しました。まずは新会社設立の経緯を聞かせてください。

春田真氏(以下、春田):話が始まったのは2016年末ごろ。スクラムベンチャーズはベンチャーキャピタルなので、新たなファンドを立ち上げようとしていた。当初はパナソニックのアプライアンス社(家電部門、AP社)に出資してもらう話がきっかけだ。その話を進めていく中で「大企業であるパナソニックがファンドに出資するだけでは意味がないよね」と。社内の活性化やスタートアップとの融合を模索していたので、一緒にやりましょうという話になった。

パナソニックの深田昌則氏(以下、深田):当時、米シリコンバレーではAI(人工知能)スピーカーが盛り上がりを見せていた時期。家電周りのイノベーションがシリコンバレーで起きていて、より詳しく知る必要があると感じていた。そんなタイミングでスクラムの新規ファンド立ち上げの話があり、そこへの出資から新会社設立の流れにつながっていった。

パナソニックと米スクラムベンチャーズが設立する新会社「BeeEdge(ビーエッジ)」の社長に就任する春田真氏(右)と、パナソニックで新規事業プロジェクトを主導し新会社の取締役に就任する深田昌則氏(左、写真は竹井 俊晴、以下同じ)

新会社の事業スキームはどうなるのでしょうか。事業化のスケジュールについても聞かせて下さい。

深田:ビーエッジが出資元となり新たに事業会社を立ち上げていく。出資対象は、パナソニックのアプライアンス社で進める新規事業の創出活動がメーンになる。新規事業のアイデアに対してビーエッジが出資、事業会社として独立していくイメージだ。

春田:4月中には第1弾の出資を決めたい。18年度中には事業を立ち上げる計画だ。家庭で使われるハードウエアとサービスをうまく組み合わせて提供していくことになるだろう。ハードウエアをポコポコ生み出す会社になるのもありかもしれないが、サービスを含めていかに「モノ」ではなく「コト」につなげられるかが大事になってくる。

出資する案件はすでに絞り込まれているのでしょうか。

春田:詳細は言えないが、パナソニック側からいくつか提案があって候補はある。パナソニック社内に良いアイデアはあるし、僕自身がやりたいものもある。これも詳細は言えないけど、マスマーケットが定義しにくくなる中、ニッチな案件とだけ伝えておきましょう。

ターゲット市場についてはどうですか。シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)と組んだことで、米国市場を意識しているようにも感じますが。

深田:市場はグローバルで考えている。ただ、今回の新会社は、国内営業を担当するパナソニックコンシューマーマーケティングとして取り組んでいる。同社幹部が新会社の監査役に名を連ねているのは、日本市場を意識している部分でもある。