社外取締役のバックグランドに対する外部の目は徐々に厳しくなっている。(写真:PIXTA)

経営陣が自ら社外取締役を選ぶことの是非

 最近は取締役の選任を担う指名委員会を設置する企業も増えてきている。だが、まだ社長・経営陣が社外取締役を実質的に選んでいる企業が日本には多い。

 これには色々な意見もあろう。社外取締役に経営陣の重要な意思決定の監督を期待する観点からは、経営者自らが自分を監督する取締役を選ぶのは問題がある。自分の意思決定や方針を客観的かつ厳しく監督されるのは、一般的に言って誰も好まない。

 一方、社長も含めて内部取締役がまだ過半を占めるほとんどの日本企業では社外取締役もそのような取締役会の一員であり、その取締役会の環境にうまくフィットしてくれないと機能しないという危惧もある。その場合、経営者がそのフィットを考慮して社外取締役を選ぶのは理にかなっているという意見もあるだろう。

上場企業でどのような社外取締役が選ばれているのか

 前者と後者のいずれの立場をとるかによって、どういう社外取締役を選ぶかに違いが出てくるのではないだろうか。この点を検証するため、上場している大企業に絞ってどういう社外取締役が選ばれているか調べてみた。

 2015年6月のコーポレートガバナンスコード(CGコード)の施行によって最低2名の独立した社外取締役の任命が求められるようになり、どのような人物を選ぶかに関する外部の目がやや厳しくなってきた。そこで、社外取締役の任命に関して、CGコードが実施されるまでの2009年から2015年3月までの7年間の期間を調べてみた。CGコードの影響を排除することで、本来企業がどのような社外取締役を採用したいのかというスタンスが明確になる。

社外取締役の人数に影響を与える要因

 日経225の指標に含まれている企業に関しては、それ以外の企業に比べて独立した社外取締役の任命数は多い。その中でも特に社外取締役の数にプラスの影響を与える要因は、外国人持ち株比率、銀行持ち株比率、社長持ち株比率、企業規模、研究開発投資比率であった。

 一方、マイナスの影響を与える要因は、企業業績(ROA=総資産利益率)、企業年齢、子会社の数であった。これはキャリアのバックグランドに関係なく、全ての社外取締役を合わせた結果である。この分析では、指名委員会設置会社では独立社外役員の数が多くなるため、その影響を統計的に排除して行った。

社外取締役の経営経験の有無

 さらに社外取締役の経営経験の有無についても調べた。経営経験者は他の企業での現経営陣および内部取締役経験も含めて過去に経営経験がある者と定義した。経営経験のない社外取締役には弁護士、会計士、学者、元官僚などが含まれる。

 このように分けて調べた理由は経営経験の有無によって、経営陣がどういう目的で社外取締役を任命したかを推測できるからである。重要な意思決定や経営全般の監視や助言を社外取締役に期待する場合は、経営経験の有無は重要な資質であろう。

 一方、弁護士や学者などの専門家は狭い分野の専門知識を持つが、経営的判断に対する貢献は(もちろん個人間で違いはあるだろが)あまり期待しにくいかもしれない。また、そのような専門家は形式的に社外取締役を任命する時にも選ばれる可能性がある。この分類を使うと、どのような企業が経営経験者を社外取締役として好むか、あるいは避けるかの傾向が明らかになった。