サウジと米国のシェールで油価はサンドイッチ

 ここで更なる油価回復の障害となるのが、米国シェールオイルの増産である。現に油価が回復を始めた昨年の第4四半期から米国の原油生産は増産に転じている。シェール企業の活動も、わずかに活発化している。この点においては、シェール産業を成長エンジンとしたいトランプ政権と中東産油国やロシアは利害が相反するようだが、油価が再び30ドル台に下落することは誰も望んでいない。すなわち、産油国とトランプの米国が最も望ましいのは、油価が50ドル以上で中位安定してくれることなのである。

 原油相場は2014年半ばから昨年まで2年半の間に、107ドルから26ドルまで歴史的なボラティリティの中で乱高下してきた。今年に入ってから、50ドル台の半ばでせいぜい上下数ドル程度の低ボラティリティの動きに終始する。これは世界的な需給のリバランスが進んだこともあるが、何と言っても生産者カルテルであるOPECの需給調整機能が復活したことで、油価の下値が支えられるのだ。

 同時に油価が上昇する場面では、米国シェールオイルが急ピッチで増産し油価の上値を押さえる。結論として、原油相場はサウジが主導する産油国と米国シェールによって下限と上限がサンドイッチされ安定化するということを意味する。

ロウハニもトランプもプーチンも、皆ハッピー

 50〜65ドルのレンジで中位安定化してくれることで、サウジのサルマン国王、イランのロウハニ大統領、米国のトランプ大統領、そしてロシアのプーチン大統領も、各者各様の思惑やアジェンダはあるにしても、皆がそこそこハッピーというのが現時点での筆者の相場観である。油価が乱高下する時代は終わり、これからは、安くもなく高くもない水準で安定推移する時代に移行したということである。

 切った張ったで稼ぐトレーダーには厳しい時代かもしれないが、長期で上流開発を進める産油国・石油企業のみならず安定的な成長を望む世界経済にとっては、好ましい状況ではないだろうか。

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