昨年後半から、世界経済には停滞感が漂っています。特に成長市場として期待している中国経済の減速が顕著ですが、こうした環境変化はレゴの成長に影響を与えませんか。

クヌッドストープ:確かに、世界経済に不透明感が漂っているのは事実です。ただ、いずれの国でもレゴの需要は減っていません。中国や南米のブラジルでも、レゴは昨年後半もよく売れましたし、直近もその傾向は変わっていません。

経済減速でも子供に使うお金は減らしていない

 地域ごとの売り上げは開示していませんが、先ほどお話したすべての地域で売上高が前期比2桁増となったのは、需要の高さを裏付けていると思います。背景には、我々の中心顧客である中間所得層が、新興国で着実に増えていることがあると思います。確かに景気は悪化しているのですが、子供たちに使うお金は減らしていないということでしょう。

 レゴの収益構造は全世界の2割の地域で収益全体の8割を稼ぎ出しています。それだけ、まだ世界に成長の伸び代があるわけです。中国やそれ以外の新興国、さらにはまだ手付かずの市場に入っていくことで、この構造を変えていこうと考えています。

 現在の優先市場はアジアですが、中長期的にはアフリカや中東地域などにもビジネスが広がってくるでしょう。ですから、繰り返しになりますが、経済減速の影響は我々のビジネスについては見られません。少なくとも今のところは。

グローバル化に向け、どのように事業を拡大しているのですか。

クヌッドストープ:大きく、2つのアプローチで進めています。1つは規模やキャパシティを物理的に増やしていくこと。これは、先ほど申し上げた、設備の増強や採用の強化といったことになりますね。

 もう1つは、規模が大きくなっても継続的にイノベーションを生む組織を維持することです。こちらの方は、より難度が高い。2000年代に陥った経営危機の教訓から、継続的にイノベーションを生み出す仕組みを作ってきました(詳しくは、こちらの記事を参照)。社内にもこの仕組みは浸透し、今ではヒット作品を連続して開発できる体制は整ったと思います。

 これからの挑戦は、この体制をより規模を拡大する中でも維持していくことですね。

 そのために大切なのは、詰まるところ優秀な人材をどれだけ集められるかという点に尽きます。あるいは、現在働いている有能な人が、レゴでずっと働き続けたいと思えるような環境を用意するということでもあります。CEOである私にとって、今最も大切な仕事の1つは、そうした職場を作ることにあります。

具体的にはどのようにして作っているのですか。

クヌッドストープ:1つは、レゴという会社が社員にとって誇らしい組織であり続けることです。「自分の働く会社が誇らしいか」というのを社員に実感してもらうことは、とても大切なことです。

 では、レゴは社会に何を誇れるのか。それは、他でもない、子供たちの創造力や学びの機会を提供し続けている会社であることです。私が決算発表のプレゼンテーションで、(業績ではなく)どれだけの子供たちにレゴを届けられたかという数字から発表しているのは、私にはこれがレゴの価値を測る上でとても大切だと思っているからです。

次ページ 風力発電や新素材開発に巨額投資する理由