ヒルトンのような事例は国内でも発生している。未対策の加盟店を狙った不正アクセスによる被害が拡大しているとされる。2013年には78億6000万円だったクレジットカードの不正使用の被害額は、2015年に120億円に増加。2016年も前年以上の被害が生じたと見られる。
カード決済端末の更新需要を取り込むべく、パナソニックはセキュリティーを高めた新型端末を2月に発売。カード情報を読み取った直後にそのデータを暗号化し、決済会社に送信する。パナソニックITプロダクツ事業部の尾野重和部長は「機密性が高まるので情報漏えいのリスクは大きく下がる」と話す。
決済端末の更新が求められる背景にはもうひとつの理由もある。訪日外国人への対応だ。日本ではPOSレジに付属した読み取り機の多くは店員が操作することを前提に作られている。しかし海外では顧客が自分で端末を操作して決済する仕組みが普及している。このため「日本でクレジットカードを店員に渡すことに対し抵抗感を覚える人が多い」(尾野部長)。
日本クレジットカード協会が外国人観光客を対象に実施した調査でも、「見えない場所でクレジットカードを決済する仕組みを改善してもらいたい」という声が多かったという。日本では接客の一環として店員がクレジットカードを受け取り、決済処理していた。新型になると自分でカードを挿入し、暗証番号も入力するようになる。
訪日外国人観光客は年間2000万人を突破し増加傾向にある。日本独特の「おもてなし」の延長線上で店舗側が担当してきたクレジットカードの決済作業。2020年の東京五輪までには外国人が違和感を覚えないスタイルに改善されそうだ。
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