極右派であるルペン候補の政策はルノー・日産連合の経営方針に逆行する(写真=Sipa Press/amanaimages)

 現時点では、与党候補の再選は難しいとの臆測が強まっている。ルペン党首が当選してもルノー・日産連合にはリスクが伴う。ルペン氏は「反移民」「反欧州統合」を掲げている。東欧やアフリカなどに製造拠点を持つルノーにとり、逆風となる可能性がある。

 仏PSA(旧プジョーシトロエングループ)の動きも気になる。かつてのゴーン氏の部下、カルロス・タバレスCEO率いるPSAは目下、GMの欧州子会社である独オペル買収に動いている。実現すれば、ルノーは販売台数で抜かれて欧州3位に転落する。

 PSAはマレーシアの自動車メーカー、プロトンにも買収を提案。経営不振に陥っているプロトンを巡っては、ルノーやスズキも提携や出資に関心を示しているとされている。日産と三菱自動車のシナジーが期待される東南アジア諸国連合(ASEAN)でも、ゴーン氏の交渉力が試されようとしている。

 日産のビジネスは西川新社長に託し、自らはグループ全体の「顔」に徹してアライアンス戦略をさらに強化する。ゴーン氏の決断は、これから自動車産業に訪れる大きな変化の前兆と言えるだろう。

(日経ビジネス2017年3月6日号より転載)