日産自動車のカルロス・ゴーン氏が、約17年間務めた社長を退任する。異業種を巻き込んだ「大乱戦」時代に、アライアンスのかじ取りに専念することを選んだ。仏大統領選や仏PSAの買収攻勢など、自動車産業の次なる変化に備えるための決断でもある。

2000年から約17年間にもわたって日産自動車の社長を務めたカルロス・ゴーン氏

 日産自動車は2月23日、カルロス・ゴーン氏が社長とCEO(最高経営責任者)から退任すると発表した。2016年に共同CEOとなった西川広人氏が4月1日付で社長に就き、ゴーン氏は日産と仏ルノー、三菱自動車の3社の会長として、アライアンスを一段と強化する立場となる。

 「まだゴーンさんと会ったことがないんですよ…」。今年1月、日産と自動運転分野で提携を結んだディー・エヌ・エー(DeNA)。同社首脳は提携覚書を結ぶまでの間に、ゴーン氏と議論する機会がなかったという。

 自動車産業では、IT(情報技術)企業など異業種とのアライアンス競争が激化している。しかし、3足のわらじを履き世界中を飛び回るゴーン氏にとって、「個別の提携について詳細に分析することが難しくなっている」(国内アナリスト)との指摘も多い。ゴーン氏も社長退任にあたり、「アライアンスの戦略面および事業上の進化により多くの時間と労力をかけることができる」とのコメントを残した。

 1999年にルノーから日産に派遣され、翌年日産の社長に就任したゴーン氏。約2兆円の有利子負債を抱えていた日産の再建に向け、工場閉鎖や系列解体などの大ナタを振るう一方で、部品の共同購買などルノーとのシナジー拡大によって業績をV字回復させた。

世界販売は2倍以上に
●ゴーン氏の社長就任時と退任時の日産の世界販売台数と経常利益