今回、事件発生後の顧客対応についても課題が残った。米山大輔さん(仮名)は不正出金による被害者の一人。約1000万円が不正出金されたという。不正出金されていることがわかるとすぐに、補償体制についてテックビューロに問い合わせたが十分な回答は得られなかった。仕方なく金融庁の相談窓口に連絡。金融庁から同社へ連絡後、2週間以内に返答がくることになっていたが結局それもこなかった。今回の全額返却の連絡でひとまずは安心したというが、「問い合わせに対しほとんど対応されなかったことが、一番憤りが大きかった」という。
テックビューロは最近でも別のトラブルが発生している。2月16日、ある個人がZaifで21億BTC(2200兆円)ものビットコインを購入した。同社によれば、ビットコインの発行上限を遥かに超える売買が起こったのはシステムの不具合が原因だという。午後5時40分から18分間、ビットコインが0円で売買できる状態が発生した。個人は手にしたビットコインを売りに出したが、「指し値注文」だったため売買は成立しなかった。その後0円で売買されたデータは修正されたが、登録業者の持つシステムとしてあってはならない不具合だ。
仮想通貨という新しい技術に対し、日本は世界に先駆けて法整備など体制を整えている。だが、国が認めた事業者でトラブルが相次ぎ、その後の対応もおざなりという状態が続けば市場の成長は見込めない。
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