EVを製造する上でシャープは有用

 ゴウ氏の「未来」の野望は自動車だ。ゴウ氏がこの数年、最も親しくしている起業家は電気自動車メーカー、テスラモーターズの創業者、イーロン・マスク氏である。ゴウ氏は「世界中のガソリン車を電気自動車に置き換える」という壮大な構想を掲げるマスク氏にぞっこんで、「いつかはテスラのEVをホンハイで作りたい」と周囲に漏らしている。

日本電産の永守重信社長兼会長は2014年10月、シャープ元社長の片山幹雄氏を副会長兼CTO(最高技術責任者)として招聘した(写真:菅野 勝男)

 テスラは現在、パナソニックと組み、米国で電気自動車用電池の巨大工場「ギガファクトリー」を立ち上げようとしているが、一時、パナソニックの腰が引け、テスラが別のパートナーを探した時期がある。その時、名乗りを上げたのもホンハイだった。ギガファクトリーはテスラとパナソニックという元の鞘に戻ったが、ゴウ氏はEVへの進出を諦めていない。

 EVは「走るスマホ」と呼ばれるほど、エレクトロニクスの塊になる。液晶、有機ELといったディスプレーだけでなく、通信や走行制御で多種多様な電子技術を必要とする。iPhoneと同じようにEVを作ることを考えれば、シャープは技術の宝庫である。

 日本にもゴウ氏が親密な起業家がいる。日本電産の創業者、永守重信氏とソフトバンクの創業者、孫正義氏である。日本電産の得意分野はモーター。ソフトバンクは言わずと知れた通信会社だ。シャープ買収は、EVが自動運転で走る「未来」をにらんだ、ホンハイの第一歩かもしれない。