これからがスタート

 業績では復活の兆しは出てきている。2016年3月期の四輪のグループ販売台数は前年同期比8.4%増の473万5000台とる見通しで、営業利益、最終利益ともに増益を見込む。タカタの問題は引き続き残るものの、フルモデルチェンジした「シビック」などが牽引役となり、北米市場では勢いを取り戻している。

 相次ぐリコールやタカタ問題などの「最悪期」からようやく抜け出し、新体制による経営の方向性は示された。ただそれだけで競争力のある「ホンダらしい商品」の登場が約束されるわけではない。

 これから強化する電動車においても、HVではトヨタに大きく差を付けられ、PHVやEVでは欧州メーカーや日産自動車、米テスラ・モーターズと比べてもホンダの陰は薄い。今回の「電動車3分の2宣言」も、これから最も競争が激しくなる領域への本格参戦を宣言したに過ぎない。

 八郷体制にとっては助走期間とも言えるこの1年で、自動車産業の環境はめまぐるしく変わった。独フォルクスワーゲンはディーゼル車のスキャンダルに襲われEVの強化などへ舵を切った。トヨタはダイハツ工業の完全子会社を決め、小型車の強化に本腰を入れる。

 過去、ホンダは「CR-V」や「オデッセイ」などの“ホームラン級”のヒットで復活を遂げてきた過去がある。ただ、現在の企業規模と事業環境を考えれば一発長打だけでは競争力を維持できない。現場重視の開発や電動化シフトなどの方針の基に、地道にクルマの競争力と収益力を高めることが求められる。ようやく、そのスタートを切ったと言えそうだ。