右と左――。両極端な2人のポピュリストが快走を続ける各党の候補者選び。それぞれの中身は異なるが、「怒り」というキーワードで共通している。

 2月1日号日経ビジネスのスペシャルレポート「怒れる白人、トランプをさらなる高みに」で詳しく述べているが、トランプ氏について言えば既存政治に対する怒りだ。

2人のポピュリストを支える2つの怒り

 リーマン・ショックに伴う住宅バブルの崩壊で米国の中間層は深い傷を負った。グローバル化の進展によって仕事を中国やメキシコに取られていると感じる向きも数多い。トランプ人気を支える白人労働者階級は将来に対する不安を感じているが、共和党指導部は所得税減税や移民制度改革に力を入れるばかりで、自分たちの声を代弁しているとはみなしていない。共和党内は割れている。

 同様に、リベラル色を前面に押し出すオバマ政権に対する怒りもある。同性婚や中絶の容認などオバマ政権の進める政策は保守的な白人層の伝統的価値観とは異なる。保険制度のオバマケアや、銃規制など社会問題に対する政府の関与が拡大していることも気にくわない。それゆえに、移民排斥や貿易における不平等是正など、トランプ氏が唱える過激な言動に快哉を叫ぶ。

「共和党はより右に、民主党はより左に」

 一方、サンダース氏の方は社会的不平等に対する怒りである。

 格差は世界的な課題だが、米国ではごく一握りの富裕層に富が集中しており、富の二極化が進んでいる。一方で、社会に出た若者は学費ローンの返済や就職で四苦八苦しており、わずかな年金で糊口をしのぐ高齢者も少なくない。こういった不平等を是正するために富裕層やウォール街への課税を強化、公立大学の無償化や公的医療保険制度の整備など、再分配政策を進めるというのがサンダース氏の主張だ。

 同氏は1979年以来、今回の大統領選まで無所属を貫いてきた。その主張が民主党の中に収まらないほどにリベラルだったためだが、民主党内に左傾化の流れが生じた影響で、超リベラルなサンダース氏が民主党左派を代表する存在に浮上、不満を抱えた若者の支持を一身に集めている。

 「今回の予備選で興味深いのは、2つの異なる怒りを受け止める候補が勝った点だ。共和党はより右に、民主党はより左に振れている」。政治アナリストで、ジョージ・メイソン大学のビル・シュナイダー教授は語る。