トランプ支持者を困窮させる保護貿易主義

 保護貿易主義の下では、関税引き上げや為替の水準修正といった措置を通じ輸入制限を行うことになるが、それは結果的に米国民が安価で魅力的な製品の購入機会を失うことを意味している。同時に、国内物価の上昇=生活コストの上昇を招くことにもなり、所得が実質的に目減りすることで、個人消費を抑制してしまう。

 トランプ大統領誕生の立役者は「ラスト・ベルト(米中西部の伝統的に製造業依存度の高い地域)の白人・低所得者層」だが、実質所得の低下によってこうしたトランプ支持者が真っ先にダメージを受ける可能性は高い。彼らが新政権の通商政策で自分たちの生活がむしろ悪化する可能性があることに気づき、いつ失望を露わにするか。これへの埋め合わせの意味からも減税策などが投入されるであろうが、ともあれトランプ支持者が支持者であり続けるかどうか、2018年の中間選挙が最初の大きな審判となるだろう。

頼みの綱はペンス副大統領のバランス感覚

 こうしてみると、新設される「日米経済対話」で米国側のトップを務めるペンス副大統領の存在が極めて重要になってくる。ペンス氏は製造業が集積する中西部インディアナ州知事を副大統領就任の直前まで4年間務めた人物。日系製造業の進出も多いこの州は、隣接するラスト・ベルト各州に比べ雇用や経済状況が安定している「製造業の優等生」として知られている。

 他方、米下院議員の経験も長いペンス氏は共和党保守派と極めて近く、周知の通り、そもそも副大統領指名も異端のトランプ大統領と共和党主流派とのパイプ役を期待されてのものであった。ペンス副大統領は、日本からみれば真っ当な通商交渉を可能にしてくれる心強い相手として、また、国内では党内調整とともに、トランプ現象の原動力となったラスト・ベルトに目配りの利く存在として、トランプ氏とその最側近が過激な保護貿易主義に走ることを抑制する役回りが大いに期待される。なお、今回の首脳会談では、今年前半をめどとする同副大統領の来日が早々合意されている。