しかし、中国政府の過去の景気対策が中国企業の過剰投資を生み、中国の債務を増やした側面もあります。本当に中国が原因ではないのでしょうか。

ロジャーズ:2008年のリーマンショックの際、確かに中国政府は大量の資金を使って企業の救済に動いた。景気対策の資金がバブルを生み、ツケを残したとの見方があるが、米国がこれまでに発行した国債の量と比べれば、低い水準だ。それに中国には蓄えがある。個人の貯蓄率は依然、高いレベルを保っている。米国の個人とは違う。

 確かに中国株は去年急落したけれども、長期的に見れば、経済成長に多少のアップダウンは付きものだ。一本調子で成長する国なんてないからね。中国経済の減速を世界経済の混乱の要因とする見方には、賛成できない。

「調整局面はだらだらと2年は続く」

 中国だって世界中の国と貿易している。世界経済が減速しているのだから、中国だって影響を受けざるを得ないだろう。

 米国が金利を上げれば、大量の投資資金が引き揚げられる。中国経済にとってダメージにならないわけがない。

世界の中央銀行は今後どのようにして混乱を収めていくのでしょうか。

ロジャーズ:大量に紙幣を刷り、金利を引き下げ、資産を買い入れ、マイナス金利も導入した。世界の中央銀行は今、パニックになってあらゆる策を講じている。でも効かない。

 躍起になればなるほどマーケットは荒れる。低金利だった時間が長ければ長いほど、そこから脱出するための時間も長くかかる。この調整局面はもうしばらく数年はだらだらと続くだろう。少なくとも2年はかかる、いやもっとかかるかもしれない。

 日本がいい例だ。低迷する日本経済を救済すべく、日銀は金利をゼロにした。銀行や会社を潰さないようにね。でも、それは現実から目を背けることにしかならなかった。金融政策によって作り出された人工的な市場は、結果的に問題を先送りしてきただけだ。