三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリストは「そもそも日本の経常黒字と円の実質的な金利上昇という、『円高に進む理由』がある。これにドル売りの流れが加わり、投機筋が乗ってきたことで、足元のような状況になっている」と解説する。

今後想定される為替レートについて、内田氏は「日米間の実質金利差から考えて107円程度まで円高が進む可能性はある。さらに、これから発表される米国の小売りや雇用の統計の結果、米国の内需が予想を下回っていることが確認されれば、一気に105円方向に向かう可能性もある」と語る。
先の唐鎌氏も「購買力平価から考えて1ドル=100~105円台が想定される」とし、いずれも110円割れが想定されるという点で見立ては共通している。
「協調して具体策出すのは難しい」
日銀の黒田東彦総裁は3日、都内の講演で「追加緩和の手段に限りはない」と述べ、さらなる金利引き下げに躊躇しない姿勢を示している。
しかし、「今回のマイナス金利の導入決定では、直後に円安に振れるもののすぐに円高基調に戻ってしまった」(内田氏)ことから、「日銀にできることは、もうない」(唐鎌氏)との見方がじわじわと広がっている。
今月下旬に開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で国際的な対策を期待する声もあるが、唐鎌氏は「各国で通貨に対する思惑が違うため、協調して具体策を打ち出すのは難しいのではないか」と指摘した。
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