2014年半ばから大きく下げてきた
●WTI原油価格の推移

原油価格は、今年後半、わずかに上昇する程度ということですか。

野神:1バレル40ドル台には戻るのでは。景気の状況次第では50ドル台もあると思っています。

芥田:一時的に40ドル台に乗せることはあっても30ドル台がいいところではないかと見ています。わずかな戻しというところでしょうか。

OPECの協調減産はなぜできないのでしょう。イランとサウジの断交だけの問題ではないのでは。

芥田:基本的に1バレル30ドルでも中東では原油採掘自体では利益は出ているはずです。だから、その気になれば続けられるという面がある。それに、常に言われることですが、自国だけが減産して世界市場でのシェアを失いたくないという問題も大きい。ただし、財政赤字が大きくなっているので、この程度の価格が続くと、苦しさが増していくのは確かです。

世界景気の停滞が最大の懸念

野神隆之(のがみ たかゆき)氏
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)主席エコノミスト。1987年石油公団入団。通商産業省(現・経済産業省)、IEA出向などを経て2004年から上席エコノミスト。

さらなる悲観シナリオは。

芥田:やはり世界景気の動向ではないでしょうか。中国は社会主義国なので、見通しとして出している6%台の成長率はなんとしても達成しようとするのでしょう。しかし、それが設備、投資、負債の3つの過剰をさらに拡大させ続けるようなことになると、不良債権問題になりかねない。

 欧米にしても、ここに来て出てきたドイツ銀行の信用懸念のような金融不安が広がったり、米国もシェールオイル業者の信用不安などが拡大したりすれば、世界景気は一気に冷え込む。そうした動きを見込み始めると原油価格は1バレル20ドル台前半もあり得るでしょう。原油価格がさらに下落すると、それが世界経済にまた悪影響を及ぼすという悪循環もあり得る。今の段階では、そこまでは考えにくいですが。

楽観シナリオはあり得るのでしょうか。

芥田:楽観と言えるかどうかですが、イランが現状の生産量からなかなか増やせず、サウジやイラク、ロシアが増産を抑え続ければられるかどうかといったところ。ほとんど想定できませんね。