「イトキン」の名前を残したかった

社長に就任する予定の前田氏。イトキンに勤めて30年あまり、直近は副社長としてイトキンの構造改革を進めてきた。

かつて一世を風靡したキャリア系ブランド「ミシェルクラン」についてはどうですか。

前田:どのアパレルメーカーにも同じことが言えますが、ブランドは歴史が長ければ長くなるほど、顧客層と共に歳を取っていく傾向があります。「ミシェルクラン」は若い顧客を開拓できない状態が続いています。加えて、「ミシェルクラン」を卒業した顧客向けに開発したSCを主な販路とする姉妹ブランド「エムケーミッシェルクラン」との商品の差別化ができなくなっています。現在、売上高25~30億円程度ですが、リブランドによってブランドを強くしていかねばと思っています。

再生にかかる期間はどれくらいを見ていますか。

山本:3年から5年です。会社が一定の規模まで立ち上がったら、IPO(新規株式公開)や、株式持ち合いを目的に主要取引先に株式を持ってもらうなど、様々な方法を検討し、投資家やイトキン双方にとって一番良い資本政策を検討したいです。イトキン側が会社をさらに大きくしたいのであれば、M&Aを考える可能性もあるでしょう。もしそのようなことがあったとしても、協力は惜しまないつもりです。

前田さんに聞きます。今回、経営が行き詰ったことで他の企業への事業売却など、ファンドからの出資以外の道は検討したのでしょうか。

前田:それはありませんでした。個人的な意見ですが、創業家の辻村一族は、やはりイトキンという名前を守りたかったのだと思います。会社を残すこと、従業員を守ることを一番に考えたのではないでしょうか。ファンドが再生支援に入ることで、創業家は経営からすべて手を引くことになります。ぎりぎりのタイミングで、辛い決断だったと思いますが、何よりも名前を残したかったのではないでしょうか。

■変更履歴
本文中、「インテグラルの山本礼次郎代表取締役パートナー」とあったのは、「インテグラルの山本礼二郎代表取締役パートナー」の誤りでした。お詫びして、修正いたします(本文は既に修正済みです)。 [2016/02/12 19:20]