北朝鮮が国際社会の警告を無視して挑発行為をエスカレートし、日本やアジア域内の安保リスクが高まっている現状は決して容認できるものではない。国際社会が結束して北朝鮮に強い圧力をかけ、日本としても危機対応をさらに急ぐ必要がある。

 その一方で、こうした状況に安倍政権が毅然と臨む姿勢を強調することで、「世論の関心が内政より外交安保問題に向かい、結果として内閣支持率の維持・回復効果が見込めるのも確かだ」と安倍首相周辺は漏らす。

北朝鮮対応もプラス材料に

 高い危機管理能力を発揮し、リスクを最小限に食い止め、追い風に変える。今回の北朝鮮への対応もまた、政権へのプラス材料となりそうな雰囲気が漂っている。

 国会論議での野党の存在感が低下する中、夏の参院選に向け足場を固める安倍首相。7日には側近の下村博文自民総裁特別補佐が衆院の解散・総選挙について「年内に90%ぐらいあるのではないか」と言及し、安倍首相が既に「戦闘モード」にあることを示唆した。

 安倍首相はこのところ、国会審議の中で憲法改正の必要性に踏み込んだ発言を繰り返している。

 野党分断を図るとともに、自らの支持基盤に対する配慮などが狙いだ。自民幹部は「支持率の回復を背景とした政権運営への自信の表れでもある」と指摘する。

 だが、不安材料はあちらこちらにくすぶっている。最大の懸案はアベノミクスの行方だ。

 世界経済の変調に起因する円高・株安傾向は長引く見込みだ。経営者や家計の心理が冷え込めば、賃上げと設備投資の増加を通じた経済の好循環シナリオや2%の物価上昇目標の達成はいよいよ遠のくばかりだ。

 外的要因によるショックを和らげ、日本経済の体質改善と成長力の底上げを促すには、成長戦略の再強化や着実な実行が欠かせない。今こそアベノミクスの旗振り役の出番のはずなのに、屋台骨だった甘利氏は退場してしまった。