専門店など有力チェーンの世代交代が注目される
●創業者が社長を務める主な企業
社名 社長 年齢(歳)
ファーストリテイリング 柳井 正 67
ヨドバシカメラ 藤沢 昭和 80
大創産業 矢野 博丈 72
カルチュア・コンビニエンス・クラブ 増田 宗昭 65
アインホールディングス 大谷 喜一 64
(注)実質創業者を含む

 専門店各社を見ると、創業者が現在も社長を務める企業は引き続き多い。

 例えばファーストリテイリング。柳井正・会長兼社長(67歳)は以前、「65歳で社長を引退する」と話していたが、2013年にこの発言を撤回。現在も社長を続けている。

 柳井氏は2人の子息を執行役員につけているが、かねて事業執行を担う経営トップの世襲はしないという考えを示している。次の世代は「柳井家」という大株主の立場で経営に関与していく形を、想定しているとみられる。ニトリHDも似鳥氏の子息がグループ会社の役員を務めているが、世襲しないということでは、似鳥氏も柳井氏と似た考えを示している。

 ヤマダ電機では創業家出身の取締役として、広告プロモーション本部長の山田傑氏(41歳)がいる。山田昇氏は傑氏について「人にはそれぞれ資質がある」と語り、後継者・代表者には向かないという考えを述べた。

 他の専門店でも、創業者の高齢化がいよいよ目立ってきた。ヨドバシカメラ創業者の藤沢昭和社長は昨年、80歳を迎えた。100円ショップ大手、大創産業の矢野博丈社長は70歳代。調剤薬局大手で、最近はドラッグストアなどにも力を入れる、アインホールディングスの大谷喜一社長も60歳代半ばになった。

 ヨドバシでは昭和氏の長男で副社長の藤沢和則氏(50歳)が後継社長の最有力候補のようだ。だが後継者を決めかねている企業も多い。

 ヤマダ電機の山田昇氏も2008年、おいの一宮忠男氏に社長を譲って一度会長に就いたが、業績悪化を受けて2013年に社長に復帰。全役員の降格という荒療治も入れながら、立て直しに奔走した経緯がある。再登板を余儀なくされた格好で、世代交代の難しさを浮き彫りにした事例だ。

 小売業界を見回すと、専門店よりも企業としての歴史が古い百貨店や総合スーパーでは、既に創業者からの世代交代や、「脱・創業家」への経営シフトが進んでいる事例が多い。だがダイエーのように、故・中内氏というカリスマ創業者の陰で後継者が育たず、長男に後継を託そうとしたものの、経営が傾いていったという例もある。

 企業としての持続的な成長を実現しながら、後継者も育成してスムーズに権限を引き継ぐという難題をどう解決するか。創業家の子息、自社の生え抜き社員、もしくは外部の「プロ経営者」――。自分が作り上げた会社を一体誰に託せばよいのか。創業者の悩みは深い。