「2015年は、全社を挙げて客数をいかに増やすかに取り組んできた。コストに見合った客単価をとるかを重視してきた2014年までの2年間とは全く違う」。こう語るのは、すかいらーくの谷真社長兼CEO(最高経営責任者)だ。

 外食業界の大手チェーンでは今、既存店の客数が前年実績を超えられない状況がみられている。すかいらーくの「ガスト」なども例外ではない。

 客数を増やすための数々の実験を行ってきた同社では、今年1月から本社に「セールスサポートチーム」なる組織を立ち上げた。

 「客数を増やすためには、店ごとに細かい施策を次々と取り組むしかない。そのためには、現場で必要なことをすぐに実行できるための組織が必要になる」と谷社長は説明する。セールスサポートチームは8人から構成される。このほか各業態の責任者であるブランドマネージャーの権限も重要なものになってくる。

 すかいらーくは2016年1月から持ち株会社制となった。事業会社の「すかいらーくレストランツ」は、フィールドオペレーションを担う共同代表を2名配置し、持ち株会社が支えるという形に変えたが、それも現場主導を狙ったものだという。

「畳を椅子に変えるだけでも増える」

 すかいらーくがこの1年間で取り組んできた客数を増やすための実験は、"地道"なものがほとんどだ。

 例えば、昼間の時間帯の強化。ガストの時間帯別の売上高を見ると、昼間が6割を占めている。ここをさらに強化することを狙って、ランチメニューを出していた時間を夕方まで延長した。また、女性向けにボリュームを抑えて野菜を多めに使った「ライトミールセット」を出すなどした。「チーズINハンバーグ」といった人気メニューを、通常の499円(税別)から399円に値下げするプロモーションも行い、手応えを得た。

「藍屋」は、テーブルの脚を伸ばして椅子を入れたところ、客数の増加につながった

 和食業態の「藍屋」では、シニアの顧客を意識し、靴を脱いで畳に座る形の座席から、テーブルを高くして、椅子で座れるようなものに変えた。成果はすぐに表れた。畳の席を敬遠する顧客が減るので、順番待ちを相対的に解消でき、その分、客数を確保できるようになったという。

 テイクアウトの顧客を増やすことにも取り組んでいる。店舗の外壁で目につきやすい部分に、テイクアウトを訴求するような看板を出す店も出てきた。ジョナサン方南町店では、弁当の持ち帰りの看板を出すことで、持ち帰りの件数が2割以上増えるという成果があった。

「ジョナサン方南町店」はテイクアウトを訴求する看板を設置したところ、テイクアウトの注文数が2割以上増えた