今回の人事は、伊藤忠色がぐっと強まるのが特徴です。岡藤社長をはじめ、伊藤忠社内ではユニーの構造改革のスピードが遅いという認識があるようです。これまでは上田さんがある意味、踏み込んでくる伊藤忠に対して、防波堤のような存在になってきたと思うのですが、このあたりの間合いについてはどう理解すれば良いのでしょうか。

上田:伊藤忠のひとからすれば、もっとスピードを上げてくれという思いはあるかもしれない。けれど、じゃあユニー側がのんびりやっているかっていったら、そんなことはないですよ。現場で現実に直面しているわけですから。危機感はものすごくあります。この危機感を、いま中期経営計画の前半2年の部分に集約している最中で、これが3月末から4月には発表できるでしょう。こういう細かい動きは、伊藤忠に毎日報告しているわけでもないですから、見えていないのかもしれませんね。

そのあたりの危うさを非常によくわかっている上田さんが退かれると、まだあまり現場の見えていない伊藤忠の思惑がぐっと入ってきて、ユニー側から反発が起きる懸念もあるのでは。

上田:まあ、伊藤忠など株主の期待に答えるのはどういうことかと言ったら、きちっと投資先の会社として売り上げや利益を上げることに尽きます。そのためには、やっぱり現場には経営に集中してもらわないといけない。メディアにも色々書かれますけど、まずは事業会社が自分の現場に集中することが大切なのだと思います。

撮影:都築 雅人
撮影:都築 雅人

上田さんの個人的な能力と人柄でこれまでは上手くいってきたのかもしれませんが、これから伊藤忠からも人がたくさん入ってくるなかで、商社という株主に左右されすぎずに現場に集中する、というようなウィン・ウィンの関係は作れるのでしょうか。

上田:そうならなきゃいけないですよね。まあ、あの、伊藤忠から人間が来ているのもそうだし、ユニーから見ればファミリーマートからも役員が派遣されているのも事実。とにかく僕が頼んでいるのは、やっぱりそこで働いているプロパー社員が、生き生きとたたかえる、頑張れるというような、雰囲気なり、文化なり、作っていくことだと思うんです。経営のマネジメントとかガバナンス強化っていう観点からだけで見ていると、やっぱり成長していくのには難しいものがありますよね。

 伊藤忠だって、これまでは客観的に外部からファミマやユニーの経営を見ていたけれど、実際に現場に入ったら、企業経営がどうあるべきなのか、(考えなどが)これまでとは違ってくると思いますよ。

今回、持ち株会社と2つの事業会社の取締役体制を大きく変えました。これは上田さんの思い通りになったといえるのでしょうか。

上田:……。

だいたい何%くらい、上田さんの思い通りという感じでしょうか。

上田:あれはね……。

仕上がりの形としてはどうですか。

上田:ユニーの取締役会をどうするかについては、佐古(則男ユニー社長)さんと私で話して決めました。取締役の数をもう少し絞りましょうとか、佐古さんが決めて判を押すんじゃなくて、もっと議論を活性化しなきゃいけないとか。だから、まあ……ユニーについては佐古さんの考えも入っています。それで、最終的にはいまの体制になりました。

ファミマのほうの取締役の体制も、相当変わりました。どう評価しています?

上田:……まあ、あんなもんでしょう(笑)

退任する取締役は内規を超えただけ

今回、ファミリーマートの取締役だった小松崎行彦さんが退任されます。商品本部長だった本多利範さんも、同職から外れます。両人とも、上田さんと長く一緒に経営を担ってきた「戦友」とも言えるような人たちですね。

上田:もともとファミマには取締役の任期について内規があるんですよ。年数、年齢など各役員、役付きごとに。今度、異動される方々って、とっくにその内規をオーバーしているとか、内規の年数に来た方なんです。僕は統合交渉が始まってから会社人生の延長戦を戦ってきたと話しました。今回退任される役員のみなさんも、同じく延長戦を戦ってきただけということになりますから。

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