それなら、なぜ70歳になってすぐに決めなかったのですか。

上田:本当は去年の12月27日に退任を発表したかったんです。僕の誕生日ですよ。2013年、僕がファミリーマートの社長から会長になったときは前年の12月27日に記者会見しました。けど今回はステークホルダーが多いですよね。伊藤忠はもちろんだけど、ユニー側ともいろいろ調整しなきゃいけない。みなさんの了解とるのに相当な時間がかかったんです。

後任に就く伊藤忠の高柳副社長は、同社副会長に就くことが1月19日に対外発表されていました。2週間で上場会社の役員人事が覆るのは、不自然にみえます。

上田:高柳さんが記者会見で「社長就任について聞いたのは10日前」と答えていたでしょう。あれは本当のことなんですよ。

伊藤忠の岡藤社長から高柳氏にファミマの社長になるよう指示があったのが10日前ということでしょうか。

上田:そう。僕と岡藤さんのあいだでは、僕は決算期末である2月末で退任したいっていう話は前からしていましたよ。岡藤さんの腹のなかでも、後任は高柳さんって決めていたと思う。ただ、1月19日に伊藤忠が役員人事を発表する段階では、まだ誰をユニー・ファミマHDの社長として派遣するかについては正式に決まっていなかったということなんでしょう。

 記者会見での発言が、もうまさしく公式発言ですよ。すべて事実です。「公式発言はああだけど実態はこうなんでしょう」とか記者さんからもメールをもらったけど、そんなことは全くない。あれが事実です。

2月3日、退任を発表する上田氏(左)と、後任の高柳氏(東京・豊島)=撮影:的野 弘路
2月3日、退任を発表する上田氏(左)と、後任の高柳氏(東京・豊島)=撮影:的野 弘路

発表で退任理由について「一身上の都合」としたことが、様々な憶測を呼びました。

上田:僕もね、当日の取締役会の書類で、あの言葉遣いをみて「ぷっ」って思ったんですよ。なんなんだろなこれ、って。けどまあいいや、記者会見で説明すればいいかって思ったのですが。

あらかじめ、高柳さんとは、ユニー・ファミマHDの社長人事について話していなかったのですか。

上田:高柳さんは伊藤忠で食料カンパニーのトップを務めていて、ユニーとファミリーマートの統合についても一番最初から伊藤忠側の人間として経緯を知っています。だから、僕自身も2月末で退任したいということは高柳さんには伝えていた。だけど、彼はそれが自分だとは思っていなかったということです。

事前に「後任にはあなたを推したい」みたいなことは言っていなかったということですね。

上田:いや、それは「あなたがやるのがベストでしょうね」ということは伝えていました。

昨年末の時点で。

上田:そうです。でも決定はしていなかった。

コンビニ出身者では、会社全体を見渡せない

ファミリーマートの内部の人材を社長に昇格させるという選択肢はなかったのでしょうか。

上田:もともと僕は、ファミマ社長の後任はプロパー社員だって言ってました。ところが、ファミマは規模も大きくなって、海外事業も進めている。(コンビニ以外の)いろんな事業会社も買収しています。裾野がものすごく広がっているんです。すると、国内のコンビニ事業単体だけでは、会社を見渡せない。全体をきっちりマネジメントする人間として誰が適任かという議論のなかで、2013年に僕がファミリーマート社長から会長になったときに、僕の後任として伊藤忠から中山(勇氏、現ユニー・ファミマHD副社長)が来たという経緯があるわけですよね。

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