ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は2月3日、上田準二社長が今月末で相談役に退き、後任として伊藤忠商事の高柳浩二副社長を迎えるトップ人事を発表した。上田氏の退任理由は「一身上の都合」。後任の高柳氏については、つい2週間前には伊藤忠副会長となる人事が発表されていたのに、急に変更となるなど、今回のトップ人事には不自然な点もある。

 ファミマの「中興の祖」である上田氏の退任には、どんな経緯があったのか。岡藤正広社長の戦略の下、筆頭株主として影響力を強めてきた伊藤忠。上田氏と岡藤氏という2人の微妙な力学の中で、成長してきたファミマはどこへ向かうのか。伊藤忠からファミリーマートに送り込まれてから17年、コンビニ業界2位に躍進する立役者となった上田氏に聞いた。

上田準二(うえだ・じゅんじ)氏。1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に社長就任。2013年に会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの社長に就任。2017年2月末で退任予定。(写真:都築雅人)

退任を発表した2月3日の記者会見では「昨年末には腹が決まっていた」と話していました。ファミリーマートがサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと統合し、新会社として発足したのは昨年9月。それから5カ月という中途半端なタイミングで、なぜ退任を決断したのでしょうか。

上田:そもそも、僕は65歳で会社人生に区切りをつけたいと思って、タイミングを見計らっていたんです。ところが、ユニーとの経営統合話が持ち上がって、僕はこれに深く関わることになる。統合が決まったのは2015年秋。ああこれで区切りがつくな、これで自分のファミマ人生、自分の会社人生は最終章。もう僕の気持ちとしては、これで完全リタイヤさせてもらう、と思っていたのです。

 けどいろんなステークホルダーの方々に「合意までこぎつけたのはあなたなんだから、せめて組織が走り出すまでは見届けてくれ」と言われ、引き受けることになった。妻からは「お父さんいい加減にしたら?」と呆れられました。統合交渉が始まったのは3年前なので、それからずっと、僕は延長戦を戦っているような気持ちだったのです。

まだ出来るからこそやめるべき

それは分かるのですが、統合会社がスタートした昨年9月や昨年末、もしくは今年5月に予定されていた定時株主総会などのタイミングも考えられたと思います。なぜ「今」だったのでしょう。

上田:関係者の方は、(統合会社がスタートして上田氏が社長に就いてから)1年半から2年くらい(続ける)と思っていたかもしれない。けどね、僕は昨年の12月27日に70歳になったんです。記者会見で「上田さんは若いし顔色もいいし」なんて言ってもらったけれど、だからこそ、いま交代すべきなんです。だって70歳になれば、自ずと判断力が低下するでしょう。自覚がないまま続けていれば、晩節を汚すことになるかもしれない。あの会社は老人が跋扈してるとか、そういうことを言われる懸念もあった。

 みなさんは感じないかもしれませんが、70歳を過ぎてからの一日一日っていうのは、今までとは違った圧倒的で猛烈なスピードで過ぎていくんです。私も80歳、90歳まで生きるかもしれませんが、心身ともに健康なのって、私の場合あと7、8年じゃないですか。80歳になっても経営の一線にいる方もいますが、それはやっぱりね、少数派。稀有な人々ですよ。僕は普通の人間だから。

普通でしょうか。

上田:普通なんです。残り少ない時間はシューカツにあてたいので。

シューカツ。

上田:終わりの結び。終活ですね。人生のエピローグをね、元気に明るく過ごしていきたいということです。