馴れ合いを防ぐ仕組みは導入したが・・・

根本原因
①外部視線の伴わないガバナンス
②本部主導の監査品質管理
③自己完結的な業務を行う監査チーム
④バランスを欠いた人事制度
⑤変化に対して消極的な組織風土
出所:新日本監査法人の資料を基に本誌作成

 ①の外部視線の伴わないガバナンスについては、経営の要である理事長選任の際に、従来は前理事長ら最高幹部(代表社員)6人と、一般企業の監査役にあたる評議員13人が指名委員会を組織。ここで理事長候補を1人選び、中堅幹部(パートナー)以上の650人で信任投票をして選んでいた。株式会社と違い、社員出資による組織である分、パートナーの総意を重視した形態になっているが、実態は指名委員会の“内輪”の論理が通りやすかった。

新日本監査法人の業務改善計画の骨子
改革の柱 主な改善策
透明性が確保された
ガバナンスへ
・理事長などの選任プロセスの透明化
・社外の視点の導入
・経営執行役員の選任化
現場密着型の
監査品質管理へ
・事業部・地区ブロックにおける品質管理の強化
・本部機能の強化
・監査チームの強化
監査品質重視の
組織風土の醸成へ
・組織風土の改革
・過去の不正事案に関する根本原因の調査
・人事制度の見直し

 改善計画では、指名委員会から社内の最高幹部6人を外し、代わりに社外の有識者3人を入れ、第3者の目を加えて候補を選んだ。その候補も今回は自薦、他薦の中から3人を挙げ、さらに中堅幹部以上による選挙で選出した。辻氏はこの仕組みの中で選ばれた。

 これを見れば以前より民主的になったように映るが、選挙自体は、「過去に実施したこともある」(新日本)というから、そこに大きな変化はない。とすれば、カギになるのは第3者の目。しかし、取引先や前理事長の関係者を排除するなど、独立性を義務づけてはおらず、経営の透明性を確保し続けられるかどうか、次の理事長選挙まで見ないと分からないとも言える。

 東芝の不正を許した監査の甘さを正すために、改善計画では、法人内の事業部や地区ブロックといった現場組織に監査品質管理委員会、本部側にも監査品質監督会議を置き、不正や監査の甘さを二重にチェックする体制を整えることにした。

 また、同じ会計士が長期にわたって同一企業の監査を担当することによるなれ合いを防ぐために、監査チームの幹部メンバーたちのローテーションも厳しくすることにした。これまで、チームのトップである筆頭業務社員は、ある企業の監査を5年担当すると、次の5年間は外れ、その下の幹部会計士(パートナー)は同様に7年担当すると、2年外れることになっていた。それを筆頭業務社員については、5年の担当後は2度と同一企業の監査に戻れず、幹部会計士は5年間外れることにした。