輸入ワインの分野で市場拡大をけん引してきたチリ産ワインの存在感が一段と高まっている。2015年は輸入量で本場のフランス産を抜き初めて1位となり、消費者の間でもコストパフォーマンスの良いワインとのイメージが定着した。従来は1000円未満の比較的低価格での品ぞろえが中心だったが、ワイン最大手のメルシャンは今年、中高価格帯の品ぞろえを拡充。アサヒビールも有力ブランドの販促を強化するなど、鼻息の荒い大手の競争が一層激化しそうだ。

 財務省が1月末に発表した貿易統計(通関ベース)によると、スパークリングワインを除いた「ボトルワイン」の2015年の輸入量で、チリ産は前年比18.1%増の5159万リットルと伸長。一方、過去トップの座を守ってきたフランス産は2.8%減の5152万リットルとなり、わずかながらチリ産が上回った。

 チリワインの輸入量はこの10年間で約7倍の規模に拡大し、既にイタリアやスペインを大きく上回っていた。チリのワイン産業は歴史は浅いものの、豊かな国土とブドウの栽培に適した冷涼な風土に加え、政府の手厚い振興策もあり成長。日本だけでなく世界各地で需要が増えており、チリにとって重要な輸出品目となっている。

チリ産ワインの輸入量は近年急速に伸びてきた
●国別ワイン輸入数量の推移
注:財務省の貿易統計より

 チリワインの魅力はなんと言ってもコストパフォーマンスの良さだ。貿易統計によると、チリワインの輸入単価は1リットル当たり360円で、フランス産の4割程度。日本の小売店の店頭では1本500~1000円未満の低価格帯の商品が中心に並ぶ。「深みがありながら渋みを感じさせない飲みやすさが特徴。市場では価格の割に味覚バランスが取れていると評価されてきた」(メルシャン)

 加えて、追い風となったのが2007年に発効した日本とチリの経済連携協定(EPA)。ワインの関税が段階的に引き下げられたことにより、もともと価格競争力の高かったチリワインの輸入が促進された。日本のワイン市場は7年連続で拡大しており、近年は特に家庭でのワイン消費も増えている。スーパーやコンビニエンスストアなどで数百円台で購入できるため、試し買いがしやすいのも魅力だ。

 こうした条件が相まって、気軽に美味しいワインを楽しみたい入門者層を中心に、チリワインが消費者を取り込んできた。