澤田新社長を待ち受ける3つの「いきなり」

 ファミリーマート次期社長として、会見に出た澤田氏は、やや緊張した様子で次のように挨拶をした。

 「皆さんの前に立つのは久しぶりなので緊張しています。けれど今回、こういうチャンスをいただいた上田会長、中山社長、佐古社長、竹内社長に感謝しています。私は現在、リヴァンプを経営していますが、これだけ大きなスケールの会社で、経営の一員として仕事に関われることにワクワクしています」

 「日本市場はすごく大きなマーケットだと思います。アメリカ、中国に続く大きなマーケットで1万8000店もあると、色々なお仕事ができるはずです。ダイナミックなお仕事ができると、ワクワクして話を聞きました」

 「ただ、ワクワクしてはいるんですが、(コンビニ事業は)やったことのない“ど素人”です。コンビニを随分利用していますが、経営したことはないので、まずは現場をまわって加盟店オーナー様などからご指導をいただき、徹底的に勉強してきたいと思います」

「人生の締めくくりとしての大きなチャレンジに、必ずや社員の皆さん、オーナーの皆さんと力を合わせて成功したいと思っています。いろいろな形でアドバイスをいただければと思っています」

 「学ばせてもらいたい」「アドバイスをいただきたい」と繰り返したのが印象的だった。

 コンビニ事業を手がけたことがないのに、果たして経営することはできるのだろうか。だが実は、コンビニ業界でそんな事例は決して珍しくはない。ファミリーマートの上田現会長や中山現社長は伊藤忠商事の出身だし、ローソンの新浪剛史前社長も三菱商事出身だ。ローソンの玉塚社長も、小売業の経験こそあるものの、コンビニ事業に携わるのは、2010年にローソンに転じてからのことになる。

 コンビニ上位3社ではセブンイレブンを除けば、どの経営者も最初は澤田氏と同じ、“ど素人”だったわけだ。だが、澤田氏の場合は少し事情が異なっている。というのも、極めて難しい局面で、3つの「いきなり」に直面するからだ。

 まず1つは当然、「いきなり」外部出身者が社長になるということ。これだけなら、「プロ経営者」を起用する会社では、珍しくないことだ。だが、澤田氏の場合は、それだけでなく、小売業でもまれに見る大規模統合の中で、コンビニ事業の経営執行を、「いきなり」担うことになるわけだ。ファミリーマートとユニーグループHDが統合する9月にコンビニ事業会社のトップの座に就く。統合という「大事件」を前に、浮足立ちかねない加盟店オーナーを相手に、チェーンを束ねなくてはならない。