1月23日、経済財政諮問会議に臨む安倍首相(写真:共同通信)

政府は2020年度の財政健全化目標に代わる新たな目標や計画づくりに着手した。内閣府は国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化が昨夏の想定より2年遅れの27年度になると試算。歳出抑制でどれだけ黒字化時期を前倒しできるかが焦点となるが、首相官邸は今後の政治・経済日程をにらみ財政出動の自由度を確保したい考え。政権内で落としどころを探る動きがこれから本格化する。

 安倍晋三首相が消費増税の使い道の変更を打ち出して衆院の解散・総選挙に踏み切り、大勝を収めてから早くも3カ月が経過した。企業業績は過去最高水準で、雇用や内閣支持率はいずれも堅調に推移している。

 このまま金融緩和路線を継続して円安・株高を持続させ、アベノミクスの成果や中国との関係改善などをアピールして今年9月の自民党総裁選で3選を果たす。安倍首相と周辺はそんなシナリオを思い描いている。

長期金利上昇で金融市場に揺らぎ

 バブルの空気さえ漂う経済状況に政権幹部のほおも緩みがちだったが、このところ、米長期金利の急上昇をきっかけに日米で株安が進行するなど金融市場の揺らぎが顕在化している。

 市場の目を意識する安倍首相にしてみれば、様々なリスク要因への対応が問われる局面を迎えていると言える。その柱の1つに位置づけられるのが財政再建への取り組みだ。

 安倍政権は国と地方の基礎的財政収支(PB)を2020年度に黒字化する財政健全化の目標を掲げていた。PBは社会保障費などの政策に必要な経費を借金に依存せず、その年の税収でどのくらい賄えるかを示すもの。財政健全化の進ちょく度合いを表す指標だ。

 だが、高い成長率を前提にしていたうえ、2019年10月に予定される消費増税の使い道の変更を打ち出したことから、目標達成を断念していた。

 2025年には団塊の世代すべてが後期高齢者になり、医療や介護など社会保障費の急増が見込まれる。市場の信認を維持するためにも財政健全化への道筋を示す必要があり、政府は今年夏にPB黒字化の達成時期とその裏付けとなる計画を策定することにしている。

 そのための議論の土台となる中長期の財政試算を内閣府がまとめ、1月23日の経済財政諮問会議に提示した。

 試算はやや楽観的な「成長実現」と、慎重な「ベースライン」の2つのケースを想定している。