(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 日銀は1月28、29日に開催した金融政策決定会合で、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した。常に市場にサプライズを与え続けてきた「黒田日銀」。今回の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入もまた、意表をつくタイミングと内容の政策決定になった。

 また日銀は金融政策決定会合の終了後に、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を公表している。消費者物価の見通しは、2016年度については下方修正された。物価が日銀の目標である2%程度に達する時期は、これまでの「2016年度後半ごろ」から「2017年度前半ごろ」に先送りされた。

 こうした動きについて日銀は展望レポートの概要の中で「物価見通しの下振れおよび2%程度に達する時期の後ずれは、原油価格の想定を下振れさせたことによるものである」と説明しており、原油価格さえ上昇していれば物価目標はもっと早いタイミングで達成されていたはずだという考えをにじませている。

 日銀は、今回のやや複雑なスキームを導入するにあたり、地域金融機関の収益水準とリスクテイク能力低下による貸し出しへの悪影響について、一定の配慮を示した。この点は、超過準備付利引下げ・撤廃の有無が市場で議論されてきた際、大きな障害の1つだとみなされていたものである。

地域金融機関に配慮

 日銀は、欧州の事例を参考にしつつ、「階層構造方式」のマイナス金利を採用した。3つの階層のうち、①基礎残高(「量的・質的緩和のものとで各金融機関が積み上げた既往の残高」)、すなわち2015年1月~12月の積み期間(基準期間)における平均残高までの部分には、これまで通り0.1%の付利をするとした。

 地域金融機関にとってはとりあえず一安心の部分である。また、所要準備額に相当する部分などの②「マクロ加算残高」についてはゼロ%とした。マイナス金利が導入されるのは、上記2つを上回る部分、③政策金利残高のみである。

 だが、マイナス金利という「ペナルティー」が課され続けることを承知で、金融機関はこの③の残高を淡々と積み上げていくのだろうか。言い換えると、マネタリーベースターゲットの金融政策運営とマイナス金利は、本当に両立し続けるのだろうか。