「需要の食い合い」は起こるのか?

 売り場は、「自然と人」「伝統と革新」「東洋と西洋」といった、相反するコンセプトが自然の中で共存する様子を表現し、独特の雰囲気を持った空間を創り出している。「時間に追われがちな空港での免税店とは違って、ゆっくりお買い物を楽しんでいただきたい」と、日本空港ビルディングの米本靖英専務取締役は話す。

「日本のものづくり」にフォーカスした売り場もある。

 訪日外国人で賑わう銀座は、数多くのラグジュアリーブランドが路面店を構える場所である。三越銀座店をはじめとする百貨店内にも、今回、空港型市中免税店内にあるブランドの売り場がある。市中免税店(DUTY FREE)は通常の免税店(TAX FREE)とは異なり、消費税に加えて関税や酒税、たばこ税も免除されるため価格競争力は強い。商品にもよるが化粧品は8~28%、革製品は10~20%ほど安くなる。三越店内の需要を8階の免税店に取られ、売り上げが落ちるといった「需要の食い合い」は起こらないのだろうか。

 浅賀店長は「化粧品を中心にこれまで外国人が集まっていた売り場の混雑が解消することで、日本人のお客様の買い物がしやすくなる。新たな需要が生まれると見ている」とみている。商品の在庫についても8階の免税店と、他の階の情報を共有し合いながら、来店客を誘導していく方向だ。買い回りの利便性を高めて、三越銀座店全体の価値を向上していくことが、長期的に見て、店舗全体の売り上げ向上に貢献すると見ている。