英最高裁にあたる高等法院は「EU離脱計画は議会承認が必要」との判断を下した。写真は判決後、コメントを読み上げる政府関係者(写真:ロイター/アフロ)


 1月24日、英国の最高裁判所にあたる高等法院は、「英国がEU(欧州連合)を離脱する際には英国議会の承認が必要である」との判決を下した。

 この日午前9時30分過ぎから判決を読み上げた高等法院判事のニューバーガー氏は、「一般に、政府は条約を変更する特権を有するが、英国人の人権を侵害することはできない」と発言。「EU離脱は、英国民の基本的な人権を侵害する可能性がある」とし、その変更には議会の承認を得る必要があると述べた。

 この結果、英国政府が主張してきた「議会承認は不要」という主張は完全に退けられ、テリーザ・メイ首相は承認を得るための法案を議会で可決させる必要が生じた。

 今回の裁判は、「リスボン条約50条」を行使する際の法的根拠を巡って争われた。同条は、離脱に向けた手続きは、希望する国が欧州理事会に離脱を通告することで始まると規定している。だがリスボン条約50条は、通告のプロセスを定義していない。

 さらに、英国の憲法は成文法ではないため、50条の行使に議会の承認を必要とするかどうかが焦点となっていた。

 英国は昨年6月23日に国民投票で離脱を決めたが、その結果は法的な拘束力を持たない。これに「法的拘束力を持たせるためには、議会で議論する必要がある」。原告である実業家のジーナ・ミラー氏は、こう訴えていた。(主張はこちらの記事を参照)。

 高等法院の判断は、1審に続き今回も「議会承認が必要」となった。しかも、評決では、11人の最高裁判官のうち8人が「承認が必要」と表明し、政府の完敗に終わった。政府は、判決の直後「結果には失望しているが、政府を含むあらゆる人が法律に従う義務がある」とのコメントを発表している。

 もっとも、政府も今回の「負け」をある程度予想していた節がある。メイ首相は、昨年12月に出た高等法院の1審判決を受け上訴した後も、離脱手続きを着々と進めてきた。「2017年3月までに離脱」という離脱スケジュールについて、既に12月、下院からの支持を獲得している。

 リスボン条約50条を行使するための法案も準備に取りかかっており、議会での審議をすぐにも始めると見られている。3月まであまり時間がないため、法案は「リスボン条約50条を行使する」という非常にシンプルなものになる見通しだ。