「自動車メーカーに優る経験」

各自動車メーカーの防衛レベルをどう評価しますか?

ベンヌーン:現行のクルマに組み込まれているシステムは十分とは言えません。メーカー間の技術力の差は既に大きく開いていますが、全てのメーカーがなお進化しなければならないでしょう。盗難・侵入からの防護、車内の機器間の接続、外部との接続、全ての面でより進化した対策が必要です。

防衛システムの内製化を図っているメーカーが多い。アルグスと比較して技術力をどう見ていますか。

ベンヌーン:我々は自動車の防衛において専門的な能力を持っています。この分野における我々の技術者の平均的な経験は8~10年。これだけの能力を有している自動車メーカーはないと思います。

サイバー攻撃を受けたとして、自動車メーカーが被る損害はどれくらい広がるのでしょうか?

ベンヌーン:フィアット・クライスラーが一昨年、遠隔操作をできると指摘されたクルマ140万台をリコールしましたね。そこからある程度の金額が類推できます。

 またブランドへのダメージも考慮しなければならないでしょう。大半のユーザーは、一度ハッキングを受けた車種を購入しないとする調査もあります。

米ラスベガスで年初に開催された家電見本市「CES」ではカナダのマグナ・インターナショナルや、半導体大手の米インテル、米クアルコム、独インフィニオンテクノロジーズ、独コンチネンタル傘下の車載用組み込みソフト大手のエレクトロビットなど7社と共同開発したソリューションを発表しました。

ベンヌーン:それぞれ少しずつ違う製品構成を持っている会社です。例えばインテルやクアルコムは、外部からの侵入を困難にするファイアウォールなどを得意としている。インフィニオンやエレクトロビットは、窃盗などを防ぐ技術を持っている。提携により、製品を成熟させることができました。

これまでに日本との提携は?

ベンヌーン:まだありません。しかし、興味のある大企業からのアプローチは待っています。我々のソリューションを組み込めるハードウェアも持つような会社。もちろん自動車メーカーは当てはまります。

日本の市場についてはどのように評価していますか?

ベンヌーン:立ち上がりは欧州や米国よりもやや遅かった。ただ日増しに関心は高まっています。オートモーティブワールドでの自動車メーカーや1次部品メーカーの反応もすこぶるいい。日本滞在中に多くのCTO(最高技術責任者)や研究開発部門のリーダーに会うことができました。危機意識の高まりの表れでしょう。

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