ランサムウェアの脅威

オートモーティブワールドで講演するベンヌーンCEO
オートモーティブワールドで講演するベンヌーンCEO

セキュリティーを得意とするイスラエルでは、サイバー攻撃の予兆を見つけるために、検索エンジン経由ではたどり着けない「ダークウェブ」の監視などを手掛ける企業もありますね。ダークウェブでは既に自動車にハッキングを仕掛けるための情報がやり取りされているのでしょうか。

ベンヌーン:既にそういった情報は見つけています。自動車のキーの解除だけでなく、ネット接続されている機器へのハッキングについてもそうです。

そうした情報から推察すると、自動車のハッキングの目的は何でしょう?お金ですか?それともテロ?もしくは情報でしょうか?

ベンヌーン:多くの場合、金銭的な目的です。

オートモーティブワールドの講演でも、コネクテッドカーをハッキングして動けなくして、元に戻す代わりに仮想通貨のビットコインを請求する攻撃を例として挙げていましたね。まるでパソコンのウイルスとして猛威を振るっている「ランサム(身代金)ウェア」のようです。

ベンヌーン:これこそ最も起きる可能性の高い攻撃として我々が懸念しているものです。もしかしたら既に起きているかもしれない。

サイバー防衛のコストは1日8ドル?

講演では、ドライバーの約半数がサイバー防衛のために1日8ドルを支払うと考えているという統計も紹介しました。

ベンヌーン:自動車メーカーの1台当たりのマージンはそう多くない。コストに非常に敏感です。この統計は、サイバー防衛にどれだけコストをかけられるか考える上での重要な示唆となるでしょう。

アルグスは多くのクルマのホワイト・ハット・ハッキングに成功しているそうですね。

ベンヌーン:アルグスは多くのカーメーカーや1次部品メーカーと、極秘条項が付いた契約を交わしています。彼らのクルマをハッキングして、防衛レベルを確かめるためです。これまで、全てのシステムのハッキングに短時間で成功しています。

日本のメーカーも含まれる?

ベンヌーン:含まれます。

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