三菱重工業は23日、国産ジェット旅客機「MRJ」のANAホールディングスへの初号機納入予定が従来予定の2018年半ばから2020年半ばに遅れると発表した。商業運航に必要な「型式証明」の円滑な取得に向け、電子系統の設計を見直すことなどが要因で、納入延期は5度目となる。

事業化開始時点では2013年に納入する予定だった(写真:三菱航空機提供)

 三菱重工の宮永俊一社長は同日の記者会見で「航空機は(防衛省向け装備品や米ボーイングへの部品供給など)やってきたからできると思っていた」と見通しの甘さについて振り返った。「お家芸」との自信を背景に受注しながら、実際は建造に難航して大損失を計上中の大型客船との共通項が浮かび上がる。

 MRJの開発の遅れは2016年秋ごろに表面化し、これまで三菱重工は「精査中」とのスタンスを示していた。大きな要因は、商業運航に必要な安全性などを航空当局が調べる「型式証明」を円滑に取得できる見通しが立たなかったことだ。取得にあたっては書面審査や飛行試験で膨大なチェック項目を満たす必要がある。必ずしも明文化されていないノウハウの部分も多い。

「日の丸航空機」の重圧、外国人活用が後手に

 民間の完成機では開発経験の乏しい三菱重工だが、政府も含めて「日の丸航空機」という金看板を掲げた手前、不慣れな日本人技術者を中心に試行錯誤で開発を進めてきた。防衛省向け戦闘機や米ボーイングの民間機への部品供給などで三菱重工の評価は高く、航空機に対する一定の自信があったからだ。だが、次第にそのペースでは到底納期に間に合わない現実を思い知る。

 転機となったのが2016年11月ごろ。事業会社の三菱航空機主体の開発体制から、三菱重工の宮永社長の直轄プロジェクトとするとともに、開発経験の豊富な米国人技術者らの積極活用にカジを切った。技術系の基幹人員に占める外国人の比率を、従来の1割前後から3割程度に増やした。開発スケジュールを実質的にこれらの外国人技術者が主導する体制が固まった。