始動直後に経済・外交政策などの転換を打ち出したトランプ米政権。日本政府は出方を冷静に見極める構えだが、今後の波乱要素となりそうなのが米国内でのトランプ大統領の不人気ぶりだ。事態打開へ対外強硬路線を強めれば、日本経済への影響も避けられそうにない。

20日、米ワシントンの連邦議会議事堂前で就任演説をするトランプ新大統領。(写真:AP/アフロ)

 トランプ米政権が発足初日、早々とTPP(環太平洋経済連携協定)の離脱やNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉など経済・外交政策の転換を打ち出した。

吹き飛んだ「希望的観測」

 いざ大統領に就けば、過激な言動や大統領選時に掲げた政策は穏当かつ現実的なものになるはずだ──。

 事前のこうした希望的観測をあざ笑うかのように、内向き志向の「米国第一主義」をあくまで行動原理の柱に据えると高らかに宣言してみせたトランプ大統領。安倍晋三政権やグローバル企業の間には警戒感が広がっている。

 米製造業の復活と雇用増を最重要課題に据えるトランプ氏。政策の柱に掲げる大型減税、インフラ投資の拡大、規制緩和などを通じて米経済の成長が加速するとの期待が日米などでの「トランプ相場」の原動力となっていた。  

 だが、保護主義への傾斜や内向き志向によるアジアの安全保障環境の悪化懸念といった米国第一主義の負の側面が早くも表出したことで、経済界や市場の楽観ムードは急速にしぼんだ格好だ。

 今後、トランプ政権が実際に米にとって最大の貿易赤字相手国である中国との貿易摩擦を強め、NAFTAから離脱する事態となれば、企業のサプライチェーンは大混乱に陥り、日本も含む世界経済は大きな痛手を被るだろう。

 また、TPP発効の見通しが立たなくなったことで日本の経済連携や成長戦略が修正を迫られることは間違いない。