長尾社長は「今回の新サービスでどのくらいクロネコメンバーズを増やしたいという具体的な目標はない。まずは満足度を高めることに主眼を置く」と語る。ネット通販などをよく使う若年層にとって身近なコミュニケーションツールであるLINEを活用することで、クロネコメンバーズの加入が増えることは間違いないはずだ。

 事前に荷物の到着予定を知ったり、荷物の受け取り時間や場所を調整したりすることができれば、配達の際の不在率も低減する可能性は高い。再配達が減ればコスト抑制にもつながる。ヤマト側がLINEとの提携で得るメリットは大きい。だが実はそれだけにとどまらない。同社はLINEでのサービス提供に伴い、大きな宅急便の改革を水面下で進めている。

「フルデジタル化」で宅急便が生まれ変わる

 LINEでのサービス開始によって、セールスドライバーなど、荷物を届ける側のオペレーションはどのように変わるのか。長尾社長は「LINEとの取り組みだけで働き方が変わるとは思っていない」と前置きをしたうえで、考えられる可能性について次のような構想を説明した。

 ヤマトは現在、新システムを構築しており、デジタル化を進めている。今回のLINEとの取り組みについても、預かる荷物の情報について、LINEのアプリ内で完結するため、荷物の情報のデジタル化を進めやすくなる。

 これまでは荷物と同時に届く紙の伝票を見ながら、それぞれの支店が工夫を重ねて荷物を仕分け、セールスドライバーは経験に沿って効率的な配送ルートを考えてきた。だがデジタル化が進むと、実際の荷物がヤマトの支店に届く前に、今日はどこ向けの荷物がいくつ支店に届くのかを把握できるようになる。支店では荷物が届く前に、仕分け作業の準備やセールスドライバーの配送ルートを決めることも可能になる。つまり荷物の情報がデジタル化されればされるほど、「配送オペレーションが抜本的に変わる」(長尾社長)。