2017年1月20日のドナルド・トランプ政権の誕生から1年。看板政策の頓挫や共和党議員との舌戦、税制改革の実現、腹心との絶縁など、トランプ政権はジェットコースターのように揺れ動いた。ツイッターでの奔放な発言を含めた一挙手一投足が話題となるが、この1年間の実績に米国の識者はどんな「通信簿」をつけるのか。今回は政治リスクコンサルティング会社、米ユーラシアグループのジェフリー・ライト米国担当アソシエイト、ジョシュア・ウォーカー・グローバル戦略事業部長の2人に連名で寄稿してもらった。

 
(写真:代表撮影/UPI/アフロ)

 2016年の大統領選で予想外の勝利を果たして以降、トランプ大統領は米国政治のスタイルをひっくり返し、彼の行動に対する人々の意識も変えてきた。いくつかの選挙公約を実現したが、ワシントンに対する理解力不足もあり、頓挫しているものもある。この1年で”ニューノーマル(新常態)”が醸成されたが、選挙の結果がどうであろうと、以前の状況に戻ることはないと認識されている。以下、トランプ大統領が最初の1年で成し遂げたことと2018年の見通し、さらに日本企業に対する影響を見ていこう。

ユーラシアグループ
ジョシュア・ウォーカー・グローバル戦略事業部長
ユーラシアグループ
ジェフリー・ライト米国担当アソシエイト

国内政策は入り交じった評価

 トランプ大統領の優先事項は、国内政策に関しては米医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃だった。共和党の指導部は最初に税制改革をやるべきだと進言したが、オバマケアの撤廃を選択したのだ。

 その後、様々なことが起きた数カ月を経て、その努力は一人の上院議員の反対票によって水泡に帰してしまう。トランプ大統領をしばしば批判していたジョン・マケイン上院議員である。

 上下両院の多数を共和党が占める状況、共和党には是が非でも政策を実現しなければならないというプレッシャーがかかっていた。オバマケアの頓挫によって、大統領と共和党指導部の不安定な関係は大きな試練に直面したと言える。

 ところが、その切迫感が税制改革の原動力になった。