日本を見れば世界経済の先が読める

なぜあえて日本まで来て、マネーファイナンスを訴えるのでしょう。

ターナー氏は「日本に残された解決策はマネーファイナンス=ヘリマネ政策しかない」と断言した

ターナー:それは、世界の経済現象において日本が常に先駆けであるからだ。日本では1980~90年代に不動産ブームが起き、そしてバブルが弾けた。2008年の世界金融危機でも同じことが起きた。

 日本ではバブル崩壊後、政府が財政出動を繰り返し、債務残高を積み上げてきた。同じ現象が、金融危機後の世界中で繰り返されつつある。

 これまでの金融緩和政策だけでは、政府債務問題を解決できていない。他国に先駆け債務を積み上げてきた日本にとって、残された解決策はマネーファイナンスしかない。

日銀の黒田総裁などは、あなたの提案に関心を示していましたか。

ターナー:あくまで個人的な面会だったので、議論の具体的内容については控えたい。米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ前議長と同様、私も日本にマネーファイナンスの検討が必要と感じている。

いつまでに政策を実行に移すべきでしょうか。

ターナー:可能な限り早く導入すべきだろう。国債の償却が始まれば、政府は財政規律をわずかに緩め、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を2020年度から2025年度などに先送りするだろう。

 財政規律が緩み、政府支出の増加が適切なインフレを引き起こせば、(政府の実質債務が目減りするため)、国債の追加償却は必要なくなる。一方、インフレが起きなければ、国債償却を続ける必要があるだろう。

1月20日に米国にトランプ新大統領が誕生します。今後、世界経済にどのような影響を及ぼすでしょうか。

ターナー:就任したから急に何が変わるという事はない。何事にも時間がかかる。閣僚候補が上院で承認されるまでに時間が必要であるし、大統領の裁量の範囲も定まっていない。

 ただ、経済全般としてトランプ氏の就任はややポジティブに見ている。可能性が高いインフラ投資は、たとえ効率的に実行されなかったとしても、米国や世界経済への影響は大きい。心配なのは貿易問題だ。中国製品に高い関税を課したら、中国との間に「税戦争」が始まり世界経済を下押しする。トランプ氏が公約してきたことを実行しないことが、最も好ましいシナリオだ。