「感情だけでは飯は食えない」

 前政権の政策に対する否定という「過去」はいいとして、民進党圧勝の先に、どんな「未来」が待っているのか。ボランティアとして民進党の選挙戦をサポートした大学生は不安を打ち明けた。

 「はっきり言って、(勝利を)素直には喜べない。台湾人として『ここは中国ではない』ということを示したに過ぎない。この選択が経済環境を良くするきっかけになるんだろうか。このままでは自分の働き口すら見つからないかもしれない。感情だけでは飯は食えないから」

 台湾の民意は、国民党政権が進めた親中路線に歯止めをかけた。だが、問題はこれからの台湾をどう創っていくかだろう。

 中国は台湾にとって最大の輸出国だ。輸出額の4分の1は中国が占め、香港を入れると4割近くに相当する。

蔡氏へのメッセージを掲げる子供

 現職の馬英九総統は2008年に民進党から国民党へ政権を奪還して以降、経済成長著しい中国の「恩恵」に預かるべく、対中融和路線を進めてきた。低迷する台湾経済の浮揚がその狙いだった。

 だが、拙速な対中接近は反発も招いた。2013年、中国と台湾で金融や通信、医療、旅行などのサービス関連市場を相互に開放する中台サービス貿易協定を締結。立法院での審議を「時間切れ」として一方的に中断し、強引に批准作業を進めるなどの姿勢に台湾の人々は反発し、「ひまわり運動」と呼ばれる学生の議会占拠にまで問題は発展した。

台湾独立を訴える政党も

 それでも馬氏は昨年11月、中国の習近平国家主席と1949年の中台分断後、初のトップ会談を強行するなど、親中路線を突き進んだ。

 中国への輸出額は馬氏の就任時に比べて1.3倍にまで膨らんだ。