その多くは思慮深さとは対極的で、ほかの候補者や多くの専門家が解説したり自身がスタンスを明らかにしたりする前に発信することが大きなポイントだ。

 彼の過激な、時に一面的で、時に誤った認識の下に発せられるメッセージをきっかけに、毎回のように大きな議論が生まれる。彼の放った一言を巡って、専門家が妥当性を論じるという具合である。

「トランプ氏はツイートしていません」

 ネットでは炎上商法とも言われるが、トランプ氏のこうしたメッセージ発信がニュースのヘッドラインを飾り、そうして賛成派も反対派も、また選挙に関係のない者も、彼を意識せざるを得なくなるのだ。日によっては、「今日はトランプ氏はツイートしていません」とテレビでコメントされるほど、日々のニュースコンテンツとしても注目されていた。

 トランプ氏は、以前から露出と知名度を上げることに人一倍熱心だった。ホテルをはじめ、ゴルフ場やカジノ、家具や香水、水に至るまで、高級・高価なもので販売できるものには片っ端からトランプの名前を付けて商売をしてきたほか、テレビや映画などへも積極的に出演しており、名前や顔を売ることが成果に直結するという信念を持ってきたようだ。

 SNSでもこの考えをそのまま生かす形で取り組み、過激な発言をメディアに取り上げさせることで露出を高めるというアプローチを取ってきた。米メディア調査会社によると2015年5月から1年間でトランプ氏が得た無償の広告効果は28億ドルに上るという。

 「何を言い出すか分からない」「目が離せない」というのが、トランプ氏がSNSで作り出した自らのイメージで重要な要素の一つであろう。

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