炊き上がったご飯について、寺尾社長は「張りのある食感」「べたつきのないほぐれ感」「抜けるような香ばしさ」「透明感のある味わい」と表現する。一体、どんなご飯なのか。自宅では土鍋で炊き、それなりにこだわってきた記者も自ずと期待が高まる。記者会見後に設けられた試食会場に向かった。

白いご飯は「うーん」。でもTKGはおかわり

 炊き立てのご飯が入った炊飯器が到着し、茶碗に一膳ずつ配られる。「まず、そのままで一口どうぞ」というスタッフの掛け声とともに、口に運ぶ。うーん。おいしいけど、何だか少し固いなぁ。これが「張りのある食感」なのか?新米のみずみずしさと甘さが大好きな記者にとっては正直、「すごくおいしい」とは思えなかった。

この日の試食会では、白いご飯のほかおにぎり(小)も1つ食べた。それでもおかわりするほど卵かけご飯(TKG)はおいしかった(写真:バルミューダ)
この日の試食会では、白いご飯のほかおにぎり(小)も1つ食べた。それでもおかわりするほど卵かけご飯(TKG)はおいしかった(写真:バルミューダ)

 しかし、その印象が一変したのは、卵かけご飯(TKG)を食べた時だ。表面に張りがある分、溶き卵とうまく調和して、口の中で次々とお米がほぐれていく。こんなTKGは食べたことがない。これはうまい。思わずうなった。普段は糖質制限でご飯は控えめにしている記者だが、ついおかわりしてしまった。

 試食後、寺尾社長に「どうでした?」と聞かれたので、正直に「ご飯だけの時はどうかな、と思いましたが、卵かけご飯はおいしかったです」と答えた。すると「そうなんですよ!この炊飯器で炊いたご飯は食事に合うんです」と寺尾社長。おいしいご飯はおかずがなくてもおかわりできると言うが、このご飯はおかずと一緒に食べるとおいしさが際立つのだという。寺尾社長は「この炊飯器は、おいしい食卓を実現するための道具にすぎないんですよ」と言った。炊飯器を買うことが目的ではなく、おいしい食卓を体験したいからこの炊飯器を買う、という消費者向けの炊飯器なのだ。

レトルトカレーの発売も計画中

 バルミューダはレトルトカレーの発売も計画中とか。「今夜はカレー、と聞けば、家族みんなが嬉しくなるでしょ?だから売り出したいんです」(寺尾社長)。これも単にカレーを売るのではなく、家族の楽しい食卓を実現するための道具として発売する考えだ。

 この日の会見にはおよそ200人の記者が集まり、大変な盛況だった。大手家電メーカーが炊飯器の新製品を発表しても、ここまでは集まらないだろう。バルミューダの売上高は2015年に29億円、トースターの大ヒットで16年には55億円に跳ね上がったとはいえ、大手に比べたら、まだごく小さな存在だ。そんなベンチャーの挑戦が、縮小する一方のコメ消費に歯止めをかける可能性があるとすれば、なかなか面白い。

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