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 経済3団体主催の新年祝賀会が7日、都内のホテルで開かれた。安倍晋三首相は経団連の中西宏明会長らを前に、春季労使交渉での賃上げを要請した。ただ例年になく柔らかな印象を受けるのは、亥年の2019年に重大な政治日程を控えていることと無関係ではないだろう。

経済3団体の新年祝賀会であいさつする安倍晋三首相(写真:時事通信)

 政界では今年、統一地方選と参院選が重なる。12年前、24年前はともに自民党は苦戦を強いられ、結果として総裁はその座を追われている。また10月には消費税10%への引き上げを控えるが、安倍首相はこれまでに2度延期した。

 

 首相は7日のあいさつで、消費増税が控えていることを念頭に「経済の足腰を強化していくことが求められる」と指摘。経済界に対しては「これまで5年連続で賃上げが続いた。今年も恐らく上がっていくのだろう」と述べた。今後本格化する春季交渉での賃上げを求めたが、これまでのように具体的な数字の例示をはじめ、踏み込んだり、強い口調で求めたりする姿は最後までなかった。

 

 こうした姿勢は政治日程と深く絡んでいる。無論、中西経団連との関係は良好で「さほど言わなくても賃上げしてくれるだろう」という思いはある。むしろ見据えるのはその先の政治日程で、統一選や参院選での経済界の協力は欠かせず、官製春闘の色を出しすぎて無用な反発を招きたくない事情が透ける。

 また地方の中小企業には、人手確保につなげようと「無理に賃上げをしている所も少なくない」(日本商工会議所)とされ、こちらも介入しすぎて反発や自民離反を招く事態を避ける狙いがあると言える。

 もっとも、賃上げ動向自体にも黄信号がちらつく。18年末からの不安定な株価や為替相場、不透明な世界情勢が経営者心理に水を差す懸念は増す。経団連は交渉の指針となる経労委報告を1月下旬にまとめるが、従業員の給与を一律に底上げするベースアップ(ベア)はあくまで経営側の「選択肢の1つ」と位置付ける方向だ。